放送
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VIII. 視聴時間

標準的アメリカ人のテレビ視聴時間は1日平均で約4時間だが、主婦と高齢者がもっとも視聴時間が長く、10代は平均より約1時間少ない。

日本では1人当たりの視聴時間は1日平均4時間15分である。もっとも長いのは50歳以上の女性で6時間31分、もっとも少ない層は13歳~19歳で、2時間40分である。4~12歳の子供は3時間5分で、平均より1時間10分少ない。

1. 視聴率

アメリカのニールセンのような市場調査会社は、調査にピープルメーターという装置をつかっている。この機械は4000以上の任意抽出の家庭におかれ、調査会社と回線でむすばれ、何台のテレビがついているか、どのチャンネルをだれがみているか測定できる。また数千の世帯にテレビ日記をつけさせ、だれが番組をみたか測定する。手法がただしければ、全国視聴率を数パーセント以内の誤差で予測できるという。

2種類の視聴率が発表されている。ひとつは世帯視聴率で、特定の番組にチャンネルをあわせている世帯数とテレビ所有世帯数との比率をみる。もうひとつは視聴占有率で、特定の番組をえらんでいる世帯数が、その時間にテレビをつけている世帯数に占める比率をみる。

日本では1960年にアメリカのニールセンが進出、ついで62年にはビデオリサーチが発足、ともに機械式視聴率調査をスタートさせた(その後ニールセンは視聴率調査からは撤退)。ピープルメーターはビデオリサーチが97年に関東地区で、2001年には関西地区で導入、未導入の地区をふくめ、世帯視聴率、視聴占有率のほか、番組平均視聴率、CM平均視聴率、性・年齢別視聴率、視聴者構成比など多くのデータを出している。

2. 視聴者の番組注目率と想起

視聴者の多くは、きまった時間のきまった番組をみたくてテレビをつけるのではない。むしろ、おもしろそうな番組をみつけるためにチャンネルをかえるのである。

アメリカでおこなわれた、脳波などによる研究の結果によると、テレビ画像はめったに精神集中の焦点にならず、視聴者はくつろぎと無抵抗の状態におちいっている。カメラによる家庭の視聴者調査によると、視聴時間の3分の1は、視聴者の注目は他の事柄にもむけられ、注目率は映画がもっとも長く、視聴時間の76%、ニュースとコマーシャルがもっとも短く、55%である。4人の視聴者のうちの1人は、家事、会話、読書などをしながらみる「ながら族」である。ニュースの想起の調査では、気まぐれ視聴が標準であると結論されている。標準的なニュースで19の話題をみた視聴者が、深夜までおぼえていたのはたった1つであった。しかし、これは視聴者がテレビから情報をえていないということにはならない。積み重ねによって獲得されていくという知識の性質を過小評価すべきではない。

日本にはコマーシャルの認知と記憶に関する調査はいくつかあるが、番組そのものの注目と想起に関する調査はアメリカほど多くなく、多彩でもない。1990年から5年にわたるNHKの調査は、番組選択の動機と番組内容の記憶と評価を調査している。それによると、時の経過とともに番組内容の記憶は低下するが、番組の満足度はほとんど変化しないという。

3. 視聴者の意見

テレビは昔ほどおもしろくなくなったという世論調査がある。しかしアメリカ家庭の一日の視聴率はテレビ登場以来ふえてきているし、レジャーの中でテレビはかわらぬ人気をもっている。

コマーシャルは視聴者の批判の的になっている。アメリカの研究では、調査対象者の43%がコマーシャルは下品だといい、48%がコマーシャルのないテレビをもとめ、30%の人は少額なら非商業テレビのために寄付してもいいといっている。

日本の視聴者の意見は各テレビ局の調査結果でわかる。NHKの「テレビに対する興味の変化に関する調査」では、以前よりも興味をひかれる人20%、以前も今も同じように興味のある人34%、以前より興味をひかれなくなった人28%、以前も今もあまり興味がない人14%となっている。

コマーシャルに対する意見として、「テレビCMは新製品を知るうえで役だつ」とするもの65%、「テレビCMはおもしろい」53%、「テレビCMは邪魔だ」は19%というフジ系列合同調査がある。日本はアメリカほどコマーシャルに対する抵抗感がない。