| 人類の進化 | 項目ビュー | ||||
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| II. | 人類の形質上の特徴 |
| 1. | 直立二足歩行 |
ヒトの最大の身体的特徴のひとつは、習慣的に直立二足歩行をおこなう点にある。これまでの研究から、この特徴は、脳サイズの増大や突顎(とつがく:顎(あご)が前方へ突出する、サルとの共通特徴)の減少など、いくつかの重要なヒトの特徴の中でも、もっとも初期にあらわれ、かつ他の身体特徴の進化に影響した、鍵(かぎ)となる形質であったことがわかってきた。この直立二足歩行は、脊柱・骨盤・下肢などの骨格形態を変化させるとともに、脳を下方から支持することによってそのサイズ増大への道を開いたし、手を運動支持機能から解放し、モノの操作に特化させた。さらに乾燥化と森林の減少がすすむ中で、地上生活への適応を可能にし、人類がその後の繁栄をとげる下地をつくった。
| 2. | 脳容量と体の大きさ |
ヒトは状況判断にすぐれ、1歩先の事態の成り行きを予知し、創意工夫にとみ、言語を介して複雑な意思疎通をおこなう。他の生物といちじるしくかけはなれたこうした能力は、最終的には今日の発達した技術文化を生み、さらに地球上の多様な環境への適応を可能にした。こうしたヒトの能力は、おもに発達した脳に由来している。脳の大きさは人類の進化の過程で3倍以上になっており、現生人類(新人)の脳容量の平均値は1300~1400ミリリットルである。一般に、大型の哺乳類では脳も大きい。これは大きな身体を維持するために、多くの神経組織を必要とするためである。しかしヒトの脳は、身体の大きさに対する相対的な大きさにおいても、他の動物よりひいでて大きい。
人類における脳の進化は、文化との相互作用によってさらに促進されたと考えられている。脳がある程度進化し、社会や文化が複雑化すると、その社会の中でうまくやっていくために、より複雑な思考能力の進化がうながされる。そうして進化した脳により、さらに複雑な文化が生まれ、これがまた脳の進化をうながすというのである。このように文化が身体的進化の推進力として大きくはたらいた点において、ヒトの進化史は他の生物の進化史とことなる。
もっとも初期の人類の化石をみると、体の大きさにはかなりの差がある。これは性的二型性つまり男女の差が大きかったことをしめしている。女性は身長が90~120cm、体重は27~32kgだったのに対して、男性は身長150cm、体重も約68kg程度だったようである。このような体の大きさの違いは、初期の社会集団の行動様式と関係していたと思われる。やがて性的二型性は弱まり、男女の差はひじょうに小さくなっていった。
| 3. | 顔と歯 |
人類の第3の特徴は、顔と歯が進化とともに小さくなった点にある。大型類人猿は、いずれも、長くするどい犬歯をもっている。初期の人類もかなり発達した犬歯をもっていたが、この歯は進化の過程の中で、しだいに小型化していった。大臼歯(だいきゅうし)は、猿人の段階では時代をおってやや大型化する傾向があったが、230万年前以降のホモ属の系統では、小型化がすすんだ。このような歯の変化にともなって、顎および顔全体がだんだん小さくなっていった。初期の人類の場合には、顎は相対的に大きく、脳頭蓋(のうとうがい)の位置に対して顔が前方へ突出している。しかし、やがて歯が小さくなり、脳が大きくなると、顎は小さくなり、脳頭蓋と顔の位置関係も変化してきた。こうして現生人類では、大きな脳頭蓋の下方に小さな顔がおさまっている。