火星
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火星
V. 大気

火星はひじょうにうすい大気をもち、大部分は二酸化炭素(95%)で、窒素(2.7%)、アルゴン(1.6%)、酸素(0.13%)、わずかな量の水蒸気(0.03%)、一酸化炭素(0.08%)、その他にネオンなどの希ガスで構成されている。表面の平均圧力は5~7ヘクトパスカル(hPa)近くで、これは地球表面の0.2%の大気圧に等しい。表面温度は時間や季節、緯度によって大きくことなる。夏の最大温度は17°Cに達するが、毎日の平均温度が-33°Cをこえることはない。大気がうすいために1日に温度が100°Cくらい変化する。緯度が約50度より極に近いところでは、温度が冬の間-123°Cと低いままなので、大気の中の二酸化炭素が白くこおって沈降し、極冠をつくる。この極冠も夏にはとけだし、二酸化炭素が蒸発するため、大気圧は極冠の季節的なサイクルのために、1火星年(地球の約2年)で30%ほども変動する。

大気中の水蒸気の量はごくわずかで、変動している。水蒸気の濃度は、春に後退していく極冠の端付近でもっとも高い。火星はひじょうに寒く、高地の砂漠のようである。表面温度が低く、表面圧力が低いので、火星では、水は液体の状態で存在することができない。しかし、一部の場所では表面のすぐ下に液体の水が存在しているかもしれない。

1. ダスト・ストーム

火星の気象で特徴的なものに「ダスト・ストーム」とよばれる砂嵐(すなあらし)がある。強風にみまわれて表面の砂がうごき、大気中に塵がまきあげられる現象で、年間に100個近くも発生し、火星の大気構造に大きな影響をおよぼしている。さらに、火星が近日点近くにあって南半球の熱帯緯度がもっとも強く暖められる晩春から初夏の間には「大ダスト・ストーム」とよばれるものが1、2回おこる。これは火星全体をおおうほどになり、火星表面を何週間も、ときには何カ月もかくしてしまう。

浮遊する塵はひじょうに細かいため、沈降するまでに長い時間がかかる。また「ダスト・デビル」とよばれる塵の高さが細長い円筒状に5kmもまきあげられる現象も観測されている。これらの発生するメカニズムについてはいまだよくわかっていない。