硫酸
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硫酸
II. 製造法の変遷

硫酸は取り扱いに注意を要するが、強い化学作用をもつ物質として、古くから利用されてきた。8世紀のアラビアの錬金術師ゲーベルは、天然の硝石と硫酸塩やミョウバンを高温で加熱し、生成する三酸化硫黄を水にとかして硫酸を製造した。15世紀には硫黄と硝石(硝酸カリウムKNO3)を燃焼させたガスを釣鐘形(つりがねがた)のガラス器にみちびき、水にとかして硫酸を製造していた。

硫酸がはじめて工場で生産されるようになったのは1740年で、イギリスのジョシュア・ウォードがリッチモンドで約300リットルのガラス容器でおこなった。46年には、発明家ジョン・ローバックが、イギリスのバーミンガムにガラス器のかわりに鉛室(鉛張りの部屋)式の工場をつくり、大規模な生産がはじまった。1924年にバナジウム触媒の発見とともに現在の接触式製造法(接触法)がおこなわれるようになった。鉛室法

1. 日本での工業生産

日本では1872年(明治5年)に大阪の造幣局に、貨幣製造の工程で貴金属の洗浄に使用する硫酸をつくるための鉛室がつくられた。1933年(昭和8年)ごろには、ドイツで開発されたバナジウム触媒が輸入され、接触法による製造がはじまった。硫黄は日本で豊富に産出するため、明治時代には、単体の硫黄が大量に原料となったが、やがて金属精練時の排ガス脱硫が主流になり、現在は石油などの脱硫からえられるものも多くなっている。