| 検索ビュー | 潜水艦 | 項目ビュー |
| I. | プロローグ |
おもに水中で行動する艦艇で、深海での高水圧にたえるための耐圧船殼と、潜航と浮上をおこなうためのバラスト・タンクなどの装備をもつ。かつては水上戦闘が主流だったので、航洋性をもつ通常の軍艦と同じ舟型の船体だったが、現在では、水中行動力にすぐれた葉巻型または涙滴(るいてき)型の船体になっている。船体上部にはかつては司令塔でもあったセールがあり、潜望鏡、レーダーアンテナ、無線アンテナ、シュノーケルなどがおさめられている。
動力としては、内燃機関と電動機(→ モーター)の通常動力と核エネルギーが利用されている。推進機は船体後部にあり、船体前部またはセールに潜舵、後部に縦舵と横舵(おうだ)がある。隠密性が高いため、水上艦艇にとっては航空機とならぶ大きな脅威といえる。
| II. | 潜水艦の役割 |
第2次世界大戦までの潜水艦は、艦隊攻撃用、通商破壊用と目的の相違はあっても、基本的に水上艦艇攻撃用であった。大戦後もその性格はかわらなかったが、地上目標や空母機動部隊を遠距離から攻撃するための巡航ミサイル(→ ミサイルの「巡航ミサイル」)潜水艦も建造されるようになった。
これまでの潜水艦とまったくことなる目的で建造されたのが、弾道ミサイル潜水艦である。これは海中にいるために探知されにくく、生存性の高い原子力潜水艦にSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)を搭載し、戦略核戦力のひとつにしたものである。
通常、潜水艦は水上目標攻撃のために単独で行動するが、空母機動部隊や弾道ミサイル原子力潜水艦の対潜護衛のために、それらに随伴する場合もある。
| III. | 小型潜水艦 |
第2次世界大戦あるいはそれ以前からつくられているもので、ミゼットサブなどともいわれ、港湾などでの水上艦襲撃、工作員の潜入などに使用されている。大戦中につかわれた旧日本海軍の特殊潜航艇、イギリス軍のX艇などがあるが、最近もスウェーデン領海でなぞの潜水艇らしきものが発見されたり、1996年には北朝鮮の小型潜水艦が韓国領海で座礁する事件をおこしたりしている。
| IV. | 潜水艦の武装 |
潜水艦の主要武器は魚雷であるが、現在ではより射程の長い対艦ミサイルの比重が高まっている。また、対地攻撃のための巡航ミサイルなども装備されるようになった。かつての浮上戦闘で使用された大砲や機関砲(→ 機関銃)などは現在では装備されていない。
魚雷発射管は4~8門を装備し、魚雷またはミサイルの発射に使用する。また、ミサイル用として専用の発射筒が装備される場合もある。なお、弾道ミサイル潜水艦には弾道ミサイル用の専用発射筒が装備されている。
| V. | 潜水艦の歴史 |
1620年代にオランダの発明家コルネリス・ドレベルがつくった革でおおった木製ボートが、はじめて成功した水中船である。1770年代にはアメリカの技師デビッド・ブッシュネルがつくった1人乗り潜水艇タートルは、アメリカ独立革命でイギリス船を攻撃したが成功しなかった。
1800年にアメリカの発明家フルトンは現代の潜水艦によく似た形のノーチラスという潜水艇を発明した。南北戦争中には南軍は潜水艇4隻を建造した。そのうちのハンリーは外装水雷(→ 魚雷の「水雷と魚雷の歴史」)を装備して、64年にチャールストンの沖合いで北軍の軍艦ハウサトニックを撃沈したが、当時の潜水艦はまだ人力推進だった。
| 1. | ホーランド型潜水艦の登場 |
近代的潜水艦の直接の先祖となったのは、1898年にアメリカのジョン・フィリップ・ホーランドが開発した小型潜水艦であった。ホーランドの潜水艦は、浮上航行時にはガソリンエンジンをつかい、潜水時には電気モーターを使用していた。この改良型はホーランド型潜水艦とよばれ、イギリス、ロシア、日本をはじめ多くの国々に導入され、実用型潜水艦の原型となった。その後、潜水艦にはディーゼルエンジン、潜望鏡、魚雷などが採用され、おそるべき水中兵器となった。
| 2. | 潜水艦の活躍 |
第1次世界大戦ではドイツのUボート(Unterseebootの略称)が、連合軍の船舶を多数撃沈して水中兵器の実力を証明した。ドイツ敗戦後、日本をふくむ連合国に数隻ずつひきわたされ、以後各国はUボートの改良型の建造を本格化した。第2次世界大戦でもドイツのUボートは連合軍に対して通商破壊戦をしかけ、イギリスを敗北の一歩手前までおいこんだ。また、アメリカの潜水艦は日本の交通線をおびやかし、日本の戦争遂行を不可能にした。第2次世界大戦末期にはドイツで、潜航しながら充電することができるシュノーケル装置が実用化され、潜水艦の行動範囲を大きく広げた。
| 3. | 日本の潜水艦 |
旧日本海軍の潜水艦は大きさによって分類され、伊(イ)号、呂(ロ)号、波(ハ)号潜水艦とよばれていた。もっとも大型の伊号潜水艦の中には、カタパルトを装備して、小型の水上偵察機や攻撃機を搭載したものもあった。旧日本海軍の潜水艦は性能の面では世界有数をほこったが、作戦面では敵軍艦への攻撃を主目的とし商船攻撃をおこなわなかったため、めだった戦果をあげることはできなかった。
| VI. | 近年の発達傾向 |
戦後、潜水艦の動力として新たに採用されたのが核エネルギーである。核エネルギーによって潜水艦は空気中の酸素に依存せずに行動することが可能となった。原子力潜水艦はこれまでに、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア(旧ソ連)、中国で建造されている。
しかし、これらの国もふくめて現在、世界各国で広く使用されているのは通常動力潜水艦である。通常動力潜水艦は行動能力に制限があるものの、原子力潜水艦にくらべて小型で小回りがきき、静粛性も高い。このため使い方によってはじゅうぶんに有効な兵器となる。さらに現在、各国で、水中行動能力を向上させるための補助動力機関の開発、研究がすすめられている。
| VII. | 海上自衛隊の潜水艦 |
現在、海上自衛隊(→ 自衛隊)は基準排水量2200~2700トン級の通常動力潜水艦16隻を保有している。涙滴型および葉巻型の国産艦で、魚雷とハープーン対艦ミサイルを装備し、世界でも一級水準の能力をもっている。
→ 軍艦