| 検索ビュー | 大砲 | 項目ビュー |
| I. | プロローグ |
火薬の爆発力を利用して弾丸を発射する兵器の総称で、現代でも陸上、海上、航空戦闘の多くの場面で重要な役割をはたしている。厳密な定義ではないが、ある程度(20mmくらい)の口径をこえるものをさし、小口径の銃と区別する。火砲ともいう。特殊なものをのぞいて、弾丸は発射エネルギーにより飛翔し、自己の推進力をもたない。
ガスの燃焼により推進するロケット兵器の一部については、ロケット砲という言い方をする場合もあるが、通常そうした兵器は大砲にふくまれない。
| II. | 大砲の出現 |
大砲の元祖ともいうべき兵器は、12世紀の中国で発明されていたらしいが、現代的な意味の大砲は14世紀にヨーロッパで発明された。
当時の大砲は数枚の鉄の板を樽(たる)のようにたばねて、外側から鉄製のたがをはめて強化した構造で、石などを発射した。精度も耐久性もわるく、射撃中に砲身が破裂することもたびたびあった。敵兵をおどろかす効果はあったが、実用的な価値はあまり高くなかった。
15世紀になると、鉄よりも割れにくく、大量に生産できる青銅や黄銅製の砲身、石弾の約3倍の威力がある鋳鉄製の弾丸、砲身を上下にうごかせる砲耳(ほうじ)などの改良がくわえられた。
これらの改良と移動を容易にする車輪の装着により、大砲は攻城および防御兵器としてだけでなく、野戦でも使用されるようになっていった。
| III. | 大砲の発達 |
大砲が劇的に発達したのは19世紀のことであった。砲身にはライフルがきざまれるようになり、射撃精度があがった。砲身は鋳鉄製から鋼鉄製にかわり、その結果、火薬量が増大し、威力が向上した。さらに閉鎖機が発明されて、砲弾を前からこめる前装式から後装式になった。発射の反動を弱める駐退機、砲身をすばやく発射位置にもどす復座装置などの開発により、発射速度も速くなった。
また、無煙火薬(→ 爆発物の「発射薬・推進薬」)の発明や間接照準射撃方式(直接にはみえない敵を射撃する方法)の出現などにより、大砲は圧倒的な能力をもつようになった。
| IV. | 第1次世界大戦 |
第1次世界大戦では、大砲が陸戦の主役となった。この大戦は、長期にわたる塹壕(ざんごう)戦(→ 要塞と塹壕)となったが、そこでの戦いの主役は歩兵ではなく大砲を装備した砲兵であった。
歩兵は、はなばなしい突撃の先頭にたったが、その前進は敵の機関銃火(→ 機関銃)と砲撃によって粉砕された。そして両軍が攻撃をやめ、戦線がうごかなくなると、たがいの大砲によるはげしい砲撃合戦が、ほとんど唯一の戦闘行為となった。この結果、大砲はますます大口径化し、威力の増大と長射程化がすすんでいった。
| V. | 第2次世界大戦 |
第2次世界大戦の戦場は、塹壕戦から戦車を主役とする機動戦へと変化した。このため、重くて機動力のにぶい大砲は、戦争の主役の座から一歩しりぞいたものの、戦車や歩兵の支援兵器として大砲の価値はうしなわれることはなかった。大戦中から戦後にかけて大砲の自走化、装甲化がなされた。その後、各国ではあいついで自走砲とよばれる兵器が開発され、機械化部隊の装備として実戦配備された。
| VI. | 機能による区分 |
大砲はその機能によってカノン砲、榴弾砲、臼砲(きゅうほう)に大別される。カノン砲は長い砲身をもち、強力な発射ガスの力で、ほぼ水平の弾道(平射弾道)で長距離を高速で飛ぶ弾丸を発射するもので、対戦車砲、高射砲などにむいている。
榴弾砲は比較的短い砲身で放物線弾道で弾丸を発射し、野砲として使用される。臼砲は極端に短い砲身から高い放物線をえがいた弾丸を発射するもので、本来は攻城砲としてもちいられた。現在は、迫撃砲にその形式がのこされている。
| VII. | 現状と将来 |
現在、大砲には子弾放出砲弾、地雷散布砲弾、誘導砲弾など各種の新型弾頭が開発され、長射程化、発射速度の向上、液体発射薬の研究などがつづいている。ミサイル、ロケット兵器の発達で、大砲はその任務の一部をとってかわられたが、依然として兵器体系の重要な部分である。