| ローマ神話 | 項目ビュー | ||||
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| II. | ローマ人の神々 |
古代ローマの儀式では、神々を2つの階級に明確に区別している。ひとつはローマ国家の固有の神々で、その名称と性質には、最初期の神官の称号や暦の上で定着した祭りがあらわされている。こうした30の神々は特別の祭祀(さいし)であがめられていた。もうひとつは、歴史時代に崇拝されるようになった、外来の神々である。
| 1. | 初期の神々の原像 |
初期の神々の中には、収穫などのさまざまな活動をおこなうときに名前をとなえられる、特殊で専門的な神の一団がいた。耕作や種まきなどの行為をともなう古い儀式の断片からわかることは、各作業のすべての段階においてそれぞれ別々の神の名がとなえられ、各神の名称は、その作業をあらわす動詞から適宜つけられたことである。こうした神は、付随的または補助的な神という一般的名称のもとに分類でき、偉大な神の名といっしょにとなえられていた。
| 2. | 神々の特徴 |
神々の特徴と祭祀をみると、初期ローマ人は農業社会の一員だっただけではなく、戦いずきで多くの戦争をした民であったことがわかる。神々は、日常生活に必要な物や行為をあらわし、適切な儀式と供物が丁重にささげられていた。
たとえば、ヤヌスは扉を、ウェスタは炉を、ラレスは四つ角や道路や海路や家を、サトゥルヌスは種まきを、ケレスは穀物の生長を、ポモナは果実とその栽培を、コンサスとオプスは収穫をつかさどった。神々の支配者として威厳のあるユピテルでさえ、その雨の力で農園とブドウ畑に恵みをもたらすということで敬意をはらわれた。またユピテルは雷を武器にするため、広範囲にわたる支配力によって、ローマ国外での軍事活動におけるローマ人の保護者とされていた。
このほか初期の時代で傑出していたのはマルスとクイリヌスだった。マルスはローマ人が農耕民族から好戦的民族に変化するにつれ、農耕神から戦争神へとかわっていった。クイリヌスは、元来は前753年に都市国家ローマが建国されたといわれる以前の前10世紀ころからクイリナリス丘に居住していたサビニ人の豊穣神だったが、サビニ人がローマ人と和解してローマ市民となったときに、主神にくわえられ戦争神となったとされる。
| 3. | 新しい要素の導入 |
最初期の神々の中で、とくに高い位置にいたのは、ユピテル、マルス、クイリヌスの3神、そしてヤヌスとウェスタだった。初期の時代には、これらの神はほとんど個性がなく、ギリシャの神々とちがって擬人化されていなかったので、活動に関する記述は少ない。結婚をめぐる関係や系図も欠落していた。この時代の崇拝には、ローマの伝説上の第2代の王ヌマ・ポンピリウスが関係してくる。この学問と知恵にたけた王は、泉と出産の女神エゲリアを妻としてしたがえ、ことあるごとに助言をもとめていたと信じられていた。しかし、新しい要素も比較的はやい時期につけくわえられた。たとえば、ローマ地域において最高の地位につくことになった。ユピテル、ユノ、ミネルバの三大神確立の伝説は、王家タルクイニウス家からはじまったとされる。そのほかの新たな要素は、アウェンティヌス丘におけるディアナの崇拝と、神託を記録した予言書「シビュラの書」をギリシャから導入したことだった(→ シビュラ)。これによりギリシャの神話との接点がみいだされただけでなく、この予言書はのちのローマの祭政に大きな影響をあたえることになった。