ファシズム
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ファシズム
IV. ファシズムの特性

ファシズムは、転換期の危機に反響した、かなりの一般性をもった大衆的社会運動のひとつの展開パターンであり、その帰結として生みだされた現代国家のひとつの理念型でもある。この理念型が現代文明の悪のモデル、つまり、ネガの理念型であることはいうまでもないが、それはファシズムの特性がまさにアンビバレンス(矛盾)、あるいは不条理にあることをみることによってしか解明しえないであろう。

たとえば、運動の基底にある保守的感情と、はげしい現状変革の欲求との結合(疑似革命的様相)が、ファシズムのなによりも顕著な特性である。商店主・職人・農民・ホワイトカラーなど新旧の中間諸階層を中心にして、社会各層のマージナルな分子(マージナル・マン)の体制への不満や、現状打破のエネルギーを広範に結集して登場し、当初は暴力行使を運動の中心にすえ、制服を着用した部隊による示威行進など、多かれ少なかれ軍隊的な運動形態をとりいれることも特有である。

確立したファシズムは、こうした本来のファシズム運動と既存の支配勢力の親ファシズム部分との複雑な同盟によって体制になる。体制の定着とともに内部の急進部分(ドイツの突撃隊長エルンスト・レームや、日本の北一輝など)が排除され、テクノクラートの優位と、技術的・軍事的近代化の貫徹がみられるようになり、表面の文明化がすすむほど内面の野蛮が高進するアンビバレンスも、ファシズムにおいて顕著である。