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質量

質量とは物体にふくまれる物質の量であり、物体の慣性、つまり運動の変化に対する抵抗の大きさをしめす尺度である。そのため、厳密には慣性質量とよばれている。MKS単位系を基にした国際単位系(SI)では、質量mは基本単位のひとつであり、単位はキログラム(kg)をもちいる。

質量は重さ(重量)とはちがう意味をもつ。重さとは、あたえられた質量にはたらく地球の引力の尺度である(重力)。なお、ニュートンの運動法則(力学)にもとづき定義される運動の変化のしにくさ(慣性)をあらわす慣性質量と、万有引力の法則にもとづき定義される重力による結合の強さをあらわす重力質量とは、独立した概念であるが、本質的には同じものである。

重さは質量に比例するが、質量も地球に対してどの場所におかれているかによって変化する。したがって、同じ重力場におかれた等しい質量は同じ重さをもつし、重力がはたらかない星間空間におかれた質量の重さがゼロになることもありうる(無重量状態)。

古典物理学の基本法則のひとつに質量保存の法則があるが、これは質量が生成することも消滅することもないことをのべている(保存の法則)。この法則は、出入りするエネルギー量がきわめて少ない、ふつうの化学反応においては正しいが、原子が崩壊したり、物質がエネルギーに転換されたり、エネルギーが物質に転換されたりするような大量のエネルギーが出入りするような場合にはあてはまらない(核エネルギー)。

伝統的な質量の概念を大きく変化させたのは、1905年にドイツに生まれた物理学者アインシュタインがはじめて定式化した相対性理論によってである。物体の質量は、その速度が光の速度(光速度)、つまり秒速約30万kmに近くなると変化してしまう。たとえば、核分裂や核融合などの原子核反応にみられるように秒速約26万kmで運動する物体は、静止質量の約2倍の質量をもつ。また、アインシュタインの有名な方程式

E = mc²(エネルギーは質量と光速の2乗との積に等しい)

がしめすように、質量はエネルギーに転換されたり、その逆がおこったりする。

→物理学の「重力質量と慣性質量」:ヒッグス粒子