植物
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植物
VI. 植物の器官

維管束植物は、一般的に根、茎、葉の3種類の器官からなる。これらの器官はすべて上記の3種類の組織系をふくむが、それぞれちがった方法で細胞がことなる機能をはたすよう特殊化している。

1.

根の機能は、植物を生えているところに固定し、水や養分を吸収することである。このため、一般に根は地中にあって下の重力の方向へ生長する。茎とことなり葉や節はない。根の成長点のすぐ背後に表皮組織があり、表皮細胞が生長した根毛でおおわれている。根毛は根の表面積をふやし、その表面から水や栄養が吸収される。

根の内部は大部分が木部と師部からなるが、大きく変化して特殊な機能をはたすものが多くある。ビートやニンジン、ダイコンなどは、根が重要な栄養貯蔵器官となっている。このような根は柔組織が豊富である。多くの熱帯の木は気生の支持根をもち、これは茎を垂直にたもつのに役だっている。着生植物は、寄主植物の樹皮の上をながれる雨水をすばやく吸収するため、変形した根をもっている。

根は頂端分裂組織の活動によって長さをまし、側部分裂組織の活動によって径をふやす。支根は根の内部の成長点の背後からある程度距離をおいたところに発生し、特定の細胞が分裂するようになる。

2.

茎はふつう地上にあり、上へむかって生長し、葉は茎の節に規則的なパターンでつく。茎の節と節の間の部分は節間とよばれる。茎は先端にある頂端分裂組織の活動により長さをます。この成長点は新しい葉を生じる部分でもあり、新しい葉は茎の先端にある頂芽がのびるまで、それをとりまいて保護する。一年のある時期葉がおちる落葉樹の頂芽は、ふつう芽鱗(がりん)とよばれる変化した葉によって保護される(芽)。

茎は根にくらべて、外観も内部構造もより変化にとんでいるが、やはり3つの組織系により構成され、共通の機能がいくつかある。維管束系は束状の構造で茎の端から端まではしり、葉と根の維管束組織とつながったネットワークをなしている。草本植物の維管束組織は柔組織でとりかこまれ、これに対し木本植物の茎は主としてかたい木部組織でできている。茎は側部分裂組織の活動によって径が太くなり、木本植物では樹皮と木質部ができる。樹皮は師部もふくみ、傷や水の損失をふせぐ保護外皮の役をはたす。

植物界には、サンザシの棘(とげ)のように茎が変化したものが多くある。つる性の茎には、ブドウやツタの巻きひげのように、のびて支持物に付着することができるよう特殊な変形をしたものがある。葉が退化したりまったくない植物も多くあり、それらは茎で光合成をする(サボテン)。茎が地表をはい、茎で栄養生殖するものもある。多くのイネ科の草もこの方法で繁殖する。ほかに、茎が地下にあって栄養貯蔵器官としての役割をはたすものがあり、これによって冬を生きのびる場合も多い。チューリップやクロッカスの球根がその例である。

3.

葉はほとんどの植物で主要な光合成器官である。ふつう扁平な葉身は、内部は主として葉肉とよばれる柔組織からなり、これはすき間のあるゆるくならんだ細胞でできている。このすき間は空気でみたされ、細胞はここから二酸化炭素を吸収し、酸素を放出する。葉肉は、葉身の上下の面を表皮組織でおおわれた間にある。維管束網が葉肉をはしり、細胞壁に水を供給し、光合成の栄養産物を植物体の他の部分へはこぶ。

葉身は葉柄(ようへい)とよばれる細い部分で茎につながり、葉柄はほとんど維管束組織で構成されている。托葉とよばれる突起状などの小片が、しばしば葉柄の基部につくる。

特殊化した形態の葉は多い。変化して棘となったものもあり、これは動物に食べられないよう身をまもるのに役だつ。葉が大きく変化していて、昆虫をわなにかけて消化し、必要な栄養をえているものもある(食虫植物)。鮮やかな色をした花弁のような葉もあり、小さくてめだたない花にかわって花粉媒介者をひきつける役をはたしている。もっとも大きく変化した葉は、花そのものであるといえよう。心皮、雄蕊、花弁、萼片(がくへん:萼)といった花の各部分は、すべて葉が変化したものであり、生殖の機能をはたしている。