| フランス | 項目ビュー | ||||
| 印刷するには、[ファイル] メニューの [印刷] をクリックします。 | |||||
| VI. | 経済 |
かつては農業国だったが、第2次世界大戦後は工業化がすすめられている。モネ・プランとして知られる戦後の復興計画によって、鉄道、航空、銀行と炭田の国有化がはかられた。自動車・電子・航空機産業についても国が主要株主となり、石油と天然ガスにも投資した。1981年にミッテラン大統領の社会主義政権が誕生し、国有化がさらにおしすすめられたが、86年に保守派シラクが首相になって国家の役割が縮小された。90年代後半は、ヨーロッパ通貨統合に参加するために強硬な財政赤字削減策が実施されたが、国民の強い反発をまねき、消費拡大による景気刺激策に方針が転換された。しかし、2000年を境にGDP(国内総生産:→ GNPとGDP)の実質成長率は大きく低下して、財政赤字は02年以降、連続して、対GDP比3%以内というEUの財政協定の基準を大きくこえていた。1990年代の大きな問題だった12%をこえる失業率も、90年代末から改善されて2001年には8%台になったが、その後、ふたたび悪化して05年初めには10%を突破した。しかし、05年以降、世界経済の好調にもたすけられて経済はもちなおし、財政赤字は3%を切り、失業率も8%台にまで改善された。
2005年のGDPは2兆1266億3048万6016米ドルで、1人当たりは3万4935.50米ドルである。
| 1. | 農業 |
国土の36%が農地で、農業従事者は労働力の約3%。1955~2000年で農家の数は3分の1に減少し、相対的に1農家当たりの農地面積、経営規模が拡大した。農作物は、コムギ、ブドウ、テンサイ、トウモロコシ、オオムギ、ジャガイモ、リンゴなど。ほかに、ライムギ、オートムギ、カブ、アマ、アサ、タバコなどがある。ナシ、プラム、モモ、アプリコット、イチゴ、オリーブなどの果樹栽培も盛ん。牧畜も農家の収入源となっており、牛、豚、ヒツジ、ヤギ、ウマなどが飼育されている。穀物、食肉、酪農製品などの農産物・食品ではヨーロッパ最大の輸出国であり、ワインの生産量は世界第1位。近年、小規模ブドウ園は急速に減少して、大規模経営下で高級品化がすすめられている。
| 2. | 林業と漁業 |
1555万haの森林のうち、3分の2が私有林である。樹種は約64%がカシ、ブナ、ポプラである。漁業は、養殖をふくめて、カキなどの貝類、マグロ、イワシ、ニジマス、エイ、タラなどが水揚げされている。
| 3. | 鉱業 |
フランスの鉱物資源の種類は多い。鉄鉱石は世界有数の埋蔵量をほこる。炭田はおもに北部に集中しているが、品質のよい瀝青炭である。石油は南西部のランド地方でとれる。カリ塩、塩、鉛、ウラン、亜鉛もかなりの量が採掘されている。
| 4. | 工業 |
労働力の24%が工業に従事している。主要な工業は食品、運輸、機械、電気機械、金属である。耐久消費財の中では、自動車のランクが高い。最大の自動車産業は1996年に民営化されたルノーである。ほかには航空機、家庭用具、電気、化学工業が発達している。繊維産業も世界屈指で、羊毛、綿、絹、合成繊維から糸や布が生産される。テンサイからの砂糖生産もおこなわれている。品質面で国際的に高い評価をえているものに、香水、手袋、レース、婦人帽、婦人用衣服、綴織(つづれおり)、ショール、時計、磁器、ガラス製品、陶器、家具があげられる。
| 5. | エネルギー |
フランスほどエネルギー源を原子力にたよっている国はない。電力のおよそ78%が原子力発電でまかなわれている。火力発電は約11%、水力発電は約10%にすぎない。イギリス海峡の潮汐作用を利用した海流発電所がサンマロ近くにある。
| 6. | 通貨と銀行 |
フランスの通貨単位はナポレオン1世の時代以来フランだったが、1999年のヨーロッパ通貨統合への参加によってユーロに移行した。2002年1月1日からユーロ通貨が市中に出まわり、フランは2月17日をもって法的効力をうしなった。おもな銀行として、1800年に創設され、1946年に国有化されたフランス銀行のほか、バンク・ナショナル・ド・パリ(BNP:パリ国立銀行)、クレディ・リヨネ、ソシエテ・ジェネラルなどがある。近年、国営銀行の民営化と再編がすすみ、2000年にはBNPがバンク・パリバを合併してBNPパリバを形成、1999年に民営化されたクレディ・リヨネは2003年にクレディ・アグリコルの傘下に入った。
| 7. | 商業と外国貿易 |
フランスの商業は、長い間、小規模店舗に特徴があった。現在でも、ほとんどの商店は個人の店であるが、デパート化やスーパー化への動きも出ている。サービス業には労働力の74%が従事している。
フランスのおもな輸出品は、電気機械、特殊機械、鉄道車両、航空機、パワーシャベル、鉄鋼、事務用機械、データ処理機器、アルコール飲料、繊維製品など。おもな輸入品は、運輸用車両、食料品、工業用機械、石油、電気機械、原料、繊維、鉄鋼など。EU(ヨーロッパ連合)の一員で、外国貿易の約5分の3をEU向けが占める。アメリカ合衆国と日本も貿易相手国で、旧植民地との貿易も盛んである。
| 8. | 交通 |
交通システムが高度に発達している。オト・ルットとよばれる高速道路をはじめ、全国的に国道が整備されている。道路総延長は89万1290kmで、舗装率は100%である。鉄道は1937年に一部国有化され、現在はフランス全土2万9286kmをカバーしている。フランス新幹線TGVがとくに有名である。94年には、ドーバー海峡にユーロトンネルが開通し、2003年にはイギリス側の専用軌道の一部開通により、パリからロンドンまでTGVの「ユーロスター」で2時間半の旅となった。
運河をふくむ内陸水路も発達しており、地中海・大西洋・ライン川間を航行できる。巨大な商船も約210隻ある。航空界では再編が進行中で、民営化をすすめるエール・フランスはKLMオランダ航空を実質的に買収するかたちで経営統合し、旅客輸送量でヨーロッパ最大の巨大グループを形成することになった。おもな空港はパリ郊外のオルリ空港とシャルル・ド・ゴール空港である。
| 9. | コミュニケーション |
フランスの郵便、電話、遠距離通信システムは国営であったが、1990年代より通信事業のフランステレコムの民営化がすすめられている。ラジオ、テレビは民間放送と公共放送の両方がある。公共放送のフランステレビジョンは、仏独文化チャンネル「アルテ」をふくめて6チャンネル。民放と同じようにコマーシャルが入り、広告収入がある。民間の全国チャンネルは3、ケーブル・チャンネルは全国および地方をあわせて20以上あり、全世帯の7%以上がケーブルテレビ放送を受信している。
1996年でフランスの日刊紙は117紙をかぞえる。そのうち30万部以上発行しているのは8紙である。おもな日刊紙は、朝刊紙としてル・フィガロ、リベラシオン、トリビューヌ、夕刊紙としてル・モンド、フランスソワールなど。また、定期刊行物には、「ルポワン」「ヌーベル・オプセルバトゥール」「レクスプレス」「パリ・マッチ」などがある。
| 10. | 労働 |
2005年の労働力は2709万8341人である。労働組合への加入者数は、1980年代初めの18%から約8%まで減少して、EU諸国中もっとも低い。おもな組織に労働総同盟(CGT)、フランス民主労働連盟(CFDT)、労働者の力派(FO)がある。なおフランスでは、2000年に法定労働時間が週39時間から35時間に短縮された。ワークシェアリングの原理にもとづいて雇用の創出をはかったもので、ヨーロッパ諸国で最短の労働時間制度だったが、ラファラン内閣が成立して見直しの論議がおこり、05年に緩和法が成立。時間外労働の上限が年間180時間から220時間にひきあげられた。