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| I. | プロローグ |
太陽系内の惑星のひとつで、太陽からの距離が3番目、直径の大きさが5番目の惑星。太陽から地球までの平均距離は約1億4960万km。生命が存在していることがわかっている唯一の惑星である。ただし、大気をもっていたり、水をふくんだりしている惑星はほかにも存在する。
地球は完全な球形ではなく、わずかにセイヨウナシ(→ ナシ)のような形をしている。人工衛星の軌道に生じる摂動(せつどう)をもとに計算すると、地球は赤道のふくらみが21km、北極のふくらみが10m、南極のへこみが約31mの不完全な球であることがわかった。
| II. | 運動 |
太陽系全体とともに、地球は秒速約29.8kmの速さでヘルクレス座の方向にうごいている。しかし銀河系(→ 天の川)全体は、秒速約600kmの速さでしし座の方向にうごいている。地球とその衛星である月はいっしょに太陽のまわりを楕円軌道をえがいてまわっている。この軌道の離心率は小さく、円軌道とほとんどかわらない。地球軌道の長さは約9億3890万km。地球はそれにそって時速10万6000kmでうごいている。地球の自転周期は23時間56分4.1秒である。したがって、赤道上の点は時速1600kmと少々の速度で回転しており、北緯45度の線上の点は時速約1073kmで回転していることになる。
これらの主要な運動にくわえて、地球には次の3種類の運動もみられる。春分点の歳差、章動(太陽と月の重力が原因で生じる地軸の周期的な傾き)、緯度の変化(→ 緯度・経度)。
| III. | 組成 |
地球は5つの部分からなっている。第1は気体からなる大気圏、第2は液体からなる水圏である。第3の岩石圏、第4のマントル、第5の核(コア)はおもに固体からなっている。大気は、固体の惑星をとりまく気体の外層で、厚さ1100km以上あるが、その質量の約半分は地表近くの5.6kmに集中している。つめたくかたい岩石の層からなる岩石圏は、地下100kmまでひろがっている。水圏は、海洋の形で地表の70.8%をおおっている水の層である。マントルと核は内部にあって、地球の質量の大半を占めるほど重い。
水圏を構成するのはおもに海洋であるが、厳密にいうと内海、湖、川、地下水をふくめて、世界にあるすべての水をいう。海洋の平均の深さは3794mで、大陸の平均高度の5倍以上もある。海洋の質量は約1.35 × 1021kgあり、地球の全質量の約4400分の1にあたる。
岩石圏の岩の平均密度は約2.7で、質量の99.5%は11の元素でほぼすべて構成されている。
もっとも豊富なのが全体の46.60%を占める酸素で、次が約27.72%のケイ素、8.13%のアルミニウム、5.0%の鉄、3.63%のカルシウム、2.83%のナトリウム、2.59%のカリウム、2.09%のマグネシウム、さらにチタン、水素、リン(3つをあわせて1%以下)とつづく。くわえて、それ以下に11の元素が0.1%から0.02%を占め、量の多い順に炭素、マンガン、硫黄、バリウム、塩素、クロム、フッ素、ジルコニウム、ニッケル、ストロンチウム、バナジウムである。
岩石圏にふくまれる元素の大部分は単独ではなく、化合物の形で存在している。化合物のほぼすべてが結晶の状態になっているので、鉱物とよぶことになる。
岩石圏は地殻と上部マントルの2つの層で構成されており、10以上のプレートにわかれている。また地殻そのものも2つにわけられる。大陸を構成している上部地殻のシアル層は火成岩と堆積岩でつくられている。平均の化学組成は花崗岩によく似ており、密度は約2.7である。海盆の底を形成している下部地殻のシマ層は、斑レイ岩や玄武岩といった黒く重い火成岩でつくられており、平均密度は約3である。
岩石圏の上部マントルの密度は約3.3である。上部マントルは、上にある地殻とはモホロビチッチ不連続面(モホ面)とよばれる地震波の不連続面でわけられ、下にある下部マントルとはアセノスフェア(岩流圏)として知られる層でわけられる。岩流圏は厚さが100kmあり、部分的にとけているために、大陸は移動し、海洋は開いたり閉じたりする。
密度の高い地球内部は、中心にある核と、それを厚くとりまくマントルとにわけられる。マントルは地殻の底から約2900kmの深さにまでひろがっている。アセノスフェアをのぞけば固体であり、密度は深くなればなるほど高く、3.3~6である。上部マントルは鉱物の橄欖石のように鉄とマグネシウムのケイ酸塩で構成されている。下部マントルはマグネシウム、シリコン、鉄の酸化物からなると思われる。
地震波による研究によって、核は、平均密度10、厚さ約2225kmの外核をもっていることがわかった。外核は液状で、外面には凹凸があるといわれる。凸地は熱い物質があがってくる場所である。外核とは対照的に、半径約1275kmの内核は固体状になっている。外核も内核もおもに鉄でできており、ニッケルなどがわずかにふくまれていると考えられる。内核の温度は6650°C、平均密度は13と推定される。
| IV. | 内部の熱の流れ |
内核からの強烈な熱が、地球の固体部分をなす球殻状の層をとおってつねに外部にながれだしている。熱源としてはウランなどの放射性元素の放射性崩壊によって放出されるエネルギーであると考えられる。マントル内での対流が熱エネルギーを地中深くから地表へとはこび、大陸移動(→ 大陸移動説)の原動力となる。対流が中央海嶺からとけた熱い岩を放出し、また陸上の火山から噴出する溶岩を供給している。→ ホットスポット
| V. | 地球の年齢と起源 |
地球の年齢は放射性同位体による年代測定法によって約46億年と推定されている(→ 年代測定法)。測定によると地球最古の岩石の年齢は40億年以下であるが、地球の核と地質学的に関係のある隕石は、約45億年という年齢をしめしている。また、地球と太陽系が形成されてからおよそ1億年前後くらいに、核と隕石の固化がほぼ同時におきたと考えられる(→太陽系のの「起源論」)。
宇宙のちりやガスが重力収縮によって凝縮しはじめたころの地球は、ほぼ均一で比較的つめたかった。しかし、収縮しつづけ、一部の重元素が放射能をだすにつれて熱くなっていった。次の段階では、重力の影響下で熱くなるにつれて地球はとけはじめ、地殻、マントル、核の分化がおこった。軽いケイ酸塩は表面へとあがってマントルと地殻を形成し、鉄とニッケルを主とする重い元素は地球の中心にむかってしずみ、核を形成したのである。そのあいだにも、火山の噴火によって軽い揮発性の気体と蒸気がマントルと地殻からもれでていた。おもに一酸化炭素と窒素からなる気体の一部は、地球の重力にとらえられて原始の大気を形成し、水蒸気は凝縮して世界最初の海洋をつくった。
| VI. | 地磁気 |
地磁気の現象は地球全体が巨大な磁石としてふるまうことでおこる。これに気づいたのはイギリスの医者・物理学者ウィリアム・ギルバートで、1600年ごろのことである。しかし、地磁気はずっと以前から、コンパスとしてつかわれていた。
| VII. | 磁極 |
地球の磁極は、地軸の極とは一致していない。北の磁極は現在、カナダ北西部のハドソン湾の北西約1290kmにあるバサースト島の西岸近くに位置している。南の磁極は現在、南極大陸の端、リトル・アメリカの北西1930kmのアデリーランドにある。
磁極はつねに同じ位置にあるわけではなく、毎年かなり移動する。地球の磁場(→ 磁界)の変動には、永年変化とよぶ極の移動が原因でおこる磁場の方向の変化もふくまれる。永年変化は960年の周期でくりかえされる。また年ごとの変動も、日ごとの変動もあるが、変動をとらえるには感度のよい装置が必要である。
| VIII. | ダイナモ理論 |
永年変化の測定によって、磁場全体が毎年19~24kmの速さで西へ移動することがわかった。地磁気は静的ではなく動的な地球自体の状態の反映である。もし地球の核の鉄が固体で静的に磁化されているとしたら、地磁気も静的であるはずである。鉄は540°Cをこえる温度では磁気を永久に維持することはできないが、地球の中心温度は6370°Cにもなっている可能性がある。
ダイナモ理論は、地磁気の存続の理由を次のように説明する。地球の核は鉄を主成分とする伝導性(→ 電気伝導)の流体であるため、地球磁場の中で自転にともなってこれが対流すると電流が誘起される。この電流により磁場が発生し、磁場と電流がたがいに維持しあう仕組みとなる。固体の内核は外核よりもゆっくり回転しており、したがって西向きへの一方的な移動をもたらしている。外核表面の凹凸は磁場が不規則に変化する原因の1つかもしれない。
| IX. | 磁場の強度 |
地磁場の強度の研究は科学や工学の発展のほか、鉱物やエネルギー源をみつけるための地質調査にとっても重要である。強度は磁力計で測定する。磁力計は場の全強度と水平および垂直方向の強度が測定できる。地磁場の強度は地表の部分ごとにことなっていて、温帯地方では約0.6エルステッド(国際単位系では約47.7A/m)で、そのうちの0.2エルステッド(約15.9A/m)は水平方向の成分である。
| X. | 古地磁気学 |
古代の火山岩の研究によって、火山岩がひえるにつれて当時の磁場の方向が鉱物にのこされていることがわかった。鉱床を世界中で測定したところ、地質時代をとおして磁場の方向は大陸とともに変化している。
たとえば5億年前の北の磁極はハワイ島の南にあり、それから3億年間は磁赤道がアメリカを横切っていた。地球の自転軸は同じままであるけれども、外側の地殻がしだいにずれていったと考えられる。もしそうであれば、気候帯は同じままであったが、大陸はことなる「古緯度」をとおってゆっくりとずれていったことになる。
| XI. | 地磁気の逆転 |
岩にのこっている磁気と、海底にみられる地磁気の異常に関する最近の研究によって、地球の磁場は過去1億年のあいだに極性を少なくとも170回逆転させていたことがわかった。岩にふくまれている放射性同位体により逆転した年代がわかり、大陸移動と海底拡大の理論に大きな影響をあたえた。
| XII. | 地球の電気 |
地球内部と大気でつくられる電気系には3つあることが知られている。その1つは大気中で、もう1つは地球内部で、地表と並行にながれている。3つ目は大気と地球の間で連続して電荷を移動させる流れで、垂直にながれる。
雲や稲妻(→ 雷)にふくまれる電荷にともなう電気をのぞくと、大気の電気は、太陽放射による大気のイオン化と、大気潮汐によって運ばれるイオンの雲の運動によって生じる。
大気潮汐は太陽と月の引力によって生じ、海洋の潮汐のように毎日あがったりさがったりする。
大気のイオン化度とその電気伝導率は地表近くでは低いが、高度があがるにつれて急速に増加する。地表から40~400kmのところで、電離層がほぼ完全にまるい層を形成している。電離層は電波を地球に反射させ、宇宙から地球に近づく電磁波を吸収する。大気のイオン化度は、高度によってだけでなく、時間帯や緯度によっても大きく変化する。
| XIII. | 地電流 |
地電流は、赤道の両側へほぼ均等に分布する8つの電流の輪からなる、世界規模の系を構成し、それにくわえて極近くに小さな電流の輪もある。地電流は大気中の電気の変化によってのみ引き起こされるといわれてきたが、短期的な変化は確かにそうかもしれないけれど、もっと複雑なようである。
とけた鉄とニッケルからなる地球の核は電気をつたえることができ、巨大な発電機のコイルにたとえることができる。核の中の熱対流が、地球内の磁場に対して輪をえがくようにうごいていると考えられる。その核内での対流パターンを地球内電流は反映しているのだろう。
| XIV. | 地表の電荷 |
地表は負の電荷をもっている。地表近くの空気の電気伝導率は低いが、空気は完全な絶縁体ではないので、負の電荷が補充されているのでなければ、即座に流出してしまうだろう。
晴れたときの測定では、大気から地球へと下向きにうごく正の電荷の流れが観測される。地球の負の電荷が、大気から正のイオンをひきつけるのである。この下向きの電流は、極地域での上向きの正の電流で相殺されていると考えられていた。
しかし、今日では、負の電荷は嵐のときに地球にはこばれ、晴れた日にみられる正の電流の下向きの流れは、嵐になっている地域での正の電流の上向きの流れによって相殺されると考えられている。負の電荷が雷雲から地球へはこばれることと、嵐によって生じる電気エネルギーの割合は、地表の電荷を補充するのにじゅうぶんなのである。嵐の頻度は、地球の負の電荷がもっとも急速に増大する時間帯に最大になっているようにみえる。