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溶接
I. プロローグ

2つあるいはそれ以上の金属片を熱や圧力により接合する加工法。圧力によって溶接する圧接法(加圧溶接)と、熱によって接合する金属をとかす融接法(非加圧溶接)、および接合する金属とことなる金属を熱でとかして接着剤のようにつかうろう付けの3つに分類できる。融接法が今日もっとも一般的な溶接法である。

20世紀前半に技術が大幅に発展し、接合部分(溶接継手)の強度に対する信頼性が向上したこともあり、溶接は、橋や建築物や船舶など多種類の構造物の建設現場で従来おこなわれていたボルト締めやリベット留めにとってかわった。溶接はまた、自動車工業や航空機工業、機械製造業における基本的な工程である。溶接、ろう付け、はんだ付けのいずれの工程も、金属加工にかかすことができない。

2片の金属を接合するのに適した溶接法は、その金属の物理的特性や作業効率、要求される接合部の強度、作業条件によってきまる。溶接の工程は、一般に熱源と圧力源によって分類される。使用されるエネルギーの種類としては、電気、化学、機械、超音波、光などがある。

II. 圧接

圧接は、接合箇所を加熱し軟化させ、圧力をくわえて接合する方法で、鍛接(たんせつ)や抵抗溶接などがある。もっとも古くから利用されていた圧接は、鍛造によるものだった。金属を適当な温度の炉の中にいれ、じゅうぶんやわらかくなったところでハンマーなど機械的に力をくわえて接合するもので、これを鍛接という。この方法は、刃物の製造など現代の製造業においてもつかわれる。

抵抗溶接は、電気抵抗による発熱を利用する。電極は溶接される部材の両端にとめ、大量の電流が簡単に供給されるようにする。2つの金属の接触抵抗によって金属をとかす熱をつくりだす。抵抗溶接の種類には、点状に溶接するスポット溶接や、連続的に溶接するシーム溶接、突合せ溶接に利用されるフラッシュバット溶接などがある。抵抗溶接は広く鋼板やワイヤー製造の各分野にもちいられ、とくに自動または半自動の機械による反復性溶接に適している。

このほかの圧接法には、摩擦熱を利用して接合する摩擦圧接や電磁誘導を利用するインダクション圧接、火薬の爆発力を利用する爆発圧接などもある。圧接は、異種金属どうしの接合も可能であり、冷間圧接では、銅やアルミニウムなど軟質な金属に圧力をくわえるだけで接合する。

III. 融接

今日もっとも一般的につかわれている溶接法である融接法は、接合箇所を溶融状態にして結合し、凝固させる方法で、ガス溶接やアーク溶接が代表的である。ほかには、テルミット溶接、レーザー溶接、電子ビーム溶接がある。

1. ガス溶接

ガス溶接は、アセチレンなどの燃料ガスと酸素との混合気体の火炎による、圧力をくわえない工法である。ふつう火炎温度が3000°Cほどある炎を接合される金属と、接合部で溶融する溶接棒(針金または棒状の金属)の両方にあてる。ガス溶接は、もちはこびできて電源がいらないという利点があるが、溶接速度はおそく、ひずみも大きくなる欠点がある。溶接される表面と溶接棒は、フラックスで被覆されている。フラックスは、不完全な溶接をさけるために、気化することで金属を酸化させる空気を遮断(しゃだん)するとともに、生成した酸化物を除去しやすくするための物質である。

2. アーク溶接

アーク溶接では、直流または交流の電流を必要とし、溶接する母材と電極棒間、または2本の電極棒の間に電流をながしてアークを発生させ、その熱で接合部を溶融して溶接する。溶接棒と電極棒が同じ消耗式(しょうもうしき)と炭素やタングステンを電極棒とする非消耗式とがある。とくに造船や鉄工業などでの鋼材の溶接では一般的な溶接法である。

アーク溶接は、他の溶接法にまさるいくつかの利点をもつ。高熱を集中するので作業に時間がかからない。したがって、工程中のひずみの発生がおさえられる。この方法の中には、不活性ガスをつかいフラックスのいらないものもある。もっとも広くもちいられるアーク溶接は、被覆アーク溶接、ガスタングステンアーク溶接、ガスメタルアーク溶接、サブマージアーク溶接である。

2.A. 被覆アーク溶接

被覆アーク溶接では、電極はフラックスで被覆され、電源に接続されている。溶接される金属は、同じ電源の別の端子につながれる。電極の先端がその金属にふれてひきはなされると、アークが発生する。はげしいアークの熱エネルギーが、溶接される両方の金属と、電極の先端を溶融する。20世紀初期に発達したこの工法は、おもに鋼材の溶接にもちいられる。

2.B. ガスタングステンアーク溶接

ガスタングステンアーク溶接では、被覆アーク溶接の電極にタングステンをもちいる。また、酸化作用から金属を保護するために、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスをもちいる。アークの熱が金属の接合部を溶融する。アークの中か接合部に裸のワイヤーをおいて溶接用金属をくわえることもある。この工法はほとんどすべての金属につかわれ、高品質の溶接ができる。ただし、溶接の速度はほかの工法よりおそい。

2.C. イナートガスアーク溶接

イナートガスアーク溶接では、電極は被覆されておらず、アルゴンか炭酸ガスという不活性ガスの中で作業がすすめられる。電極はアークによって溶融され、小滴となって接合部にながれおちる。

2.D. サブマージアーク溶接

サブマージアーク溶接はイナートガスアーク溶接に似ているが、溶接部やアークを外気から遮断し保護する不活性ガスを必要としない。そのかわりアークとワイヤー先端は、粒状の特殊フラックスの中におかれる。この工法は効率的で、一般的な鋼材につかわれる。

3. エレクトロスラグ溶接とテルミット溶接

エレクトロスラグ溶接は、導電性がある溶融スラグを利用する。このスラグに電流をながして高温を発生させ、その中に連続して溶接ワイヤーをおくりこみ、母材とともに溶融する。おもに板厚が25mm以上の鋼板の突合せ溶接に利用されており、縦向きで下から上へと自動的に溶接がおこなわれる。

テルミット溶接は、アルミニウムの粉と酸化鉄の混合物に点火した際の化学反応(テルミット反応)によって発生する熱をつかう。アルミニウムは酸素と化学反応して熱を発生させ、鉄を溶融する。テルミット溶接はおもに鉄の裂けめや継ぎめの溶接にもちいられる。

IV. ろう付け

もっとも低温でおこなわれるろう付けは、はんだをつかうものだが、機械的な強度がえられないので、部材の接合よりも、電気的な接触を確実にする方法としてつかうことが多い。

ろう付けにつかう材料は、融点が450°C以上のものを硬ろうといい、それ未満のものを軟ろうといっている。

硬ろうの代表的材料は銀ろうとよばれるもので、銀、銅、亜鉛などを主成分にした合金にいくつかの金属がくわえられる。種類によって600°C程度から900°C以上の融点をもつものまである。ほかには、黄銅やアルミニウム、ニッケルなどの合金が硬ろうとしてつかわれる。

軟ろうは、ビスマス、インジウム、鉛、スズなどの合金をつかう。

V. 新しいプロセス

電子ビームやレーザーをもちいる溶接法は、20世紀の後半に発展した。これらの方法は高スピードで高品質の溶接製品をもたらしている。レーザー溶接と電子ビーム溶接は、自動車工業と宇宙産業で重要な技術である。電子ビーム溶接は、高い真空度の中で陰極から放出された熱電子を高電圧で加速して、電子レンズで焦点をしぼって接合する金属などに衝突させて熱を発生させておこなう。熱によって変化する部分が小さく、空気にふれないため、酸化しやすい金属には適している。

レーザー溶接は、炭酸ガスやYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)をつかった高エネルギーのレーザー光を金属などに照射してとかす。金属を深く溶融できるので、出力さえじゅうぶんであれば、連続してあつい金属板を溶接することもできる。不活性ガスの中でも、空気中や真空中でも作業ができるため応用範囲が広く、電子ビームと同じく熱によって影響をうける範囲が小さいので、高品質の溶接ができる。しかも、はなれている場所へも、光ファイバーでエネルギーをみちびくことができるので作業がしやすい。こうした利点があるので、コンピューターと連動した数値制御工作機や溶接ロボットとして利用することも容易である。

超音波溶接は、2個の圧接用のチップで接合する部材をはさみ、その一方向から20~60kHzの超音波振動をくわえることで発生する摩擦熱により接合をおこなう。おもにアルミニウムやプラスチックなどで利用されている。