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I. プロローグ

固体状態の水のこと。無色、透明で、結晶系は六方晶系(結晶)、融点は0°Cである。天然の氷は陸では、池や湖などのほか、氷河や氷床、永久凍土層でみられる。海上では氷山、海氷、流氷などがみられる。また、大気中でも氷晶となり雪や雹といったかたちで存在している。

II. 性質

水が凍結して氷になると体積がふえるという性質は重要である。これは0°Cで水の比重(密度)が0.9998であるのに対して、氷の比重が0.9168であることからもわかる。そのため、氷は水にうくのである。ふつうにみられる氷は、氷1とよばれるもので0°C200気圧以下では安定した性質をもつ。だが、さらに気圧が高くなると、氷は多形現象をしめし、いろいろな性質をもつようになる。そのような氷には、氷2~氷9が知られており、これらは比重が水より大きいので水にしずむ氷である。一般に気圧が高くなると融点があがる。たとえば、2万気圧では融点が80°C以上になり、「熱い氷」となる。

水がこおると体積が膨張するという性質は、地質学においても重要である。地表の岩の小さなすきまに水がしみこみ、そこでこおると体積が膨張するために、岩はひびが入ったり、くだけたりする。浸食作用の多くが氷によるこの氷食作用によっておこる。

III. 水のこおり方

水のこおり方はこのような水と氷の性質から説明できる。淡水の池や湖などでは、表面の水は冷やされるにつれて比重が大きくなり、底にしずんでゆく。すると、底の暖かい水が表面にうつりそこでふたたび冷やされる。これをくりかえすと、水全体の温度が4°C、つまりもっとも水の比重が大きい温度になる。さらに表面の水が冷やされ、4°C以下になると、その比重は逆に小さくなる。すると冷たい水が表面にとどまるので、氷がはっていく。水が底からではなく、表面からこおってゆくのは、このような温度による比重の変化のためである。

ところが、河川ではときどき氷が水の表面ではなく水中にできることがある。寒い冬の夜などに流れのはげしい川の表面が、ひじょうに冷たい空気と接触して、0°C以下にまで冷やされる。すると川の流れのために、このように過冷却された表面の水と底側の暖かい水がまざって、微細な針状または板状の氷の結晶が水中で生じ、スポンジ状の塊となる。この氷がながれていくにしたがって表面にうかんでくる。流れが緩やかになっているところでは氷結晶の塊が水中にとどまり、川の流れをせきとめ、洪水をひきおこすこともある。

水中でできる氷のもうひとつの例としては、河床の岩の周りにできる底氷すなわちアンカーアイスがある。これは、寒い夜などに、よく冷えた河床の岩によってその周りを流れる水が冷やされ、こおりつく現象である。昼間太陽でこの岩があたためられると、アンカーアイスの塊は岩からはがれ、川の表面にうかんでくる。