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| X. | 近くの星 |
望遠鏡が発明される以前、星は、太陽、月、惑星の運動を追跡するのに便利なものと考えられていた。望遠鏡と分光器をつかう現代の天文学者にとって、星の研究は天文学の魅力ある一分野となっている。
星の研究の基礎となるのは、地球からその星までの距離である。距離は、地球が軌道の反対側に到達するまでの半年をかけて星の位置を測定することによってもとめられる。地球が太陽の周りをまわるにつれて、星は空中を行ったり来たりするようにみえる。視差とよばれるこのずれによって、太陽の近くの星までの距離を測定することができるのである。星までの距離が遠ければ遠いほど、視差は小さくなる。太陽系の外で地球にもっとも近い星はケンタウルス座のa(アルファ)星(→ アルファ・ケンタウリ)で、太陽の26万倍も遠くにある。この星までの距離は、1838年に3人の天文学者によってそれぞれ独自に測定された。
すべての星は、太陽のように熱い気体の塊であるが、それぞれがいろいろな点でことなっている。星に関するもっとも重要な物理学的データは、固有の明るさ、大きさ、質量、化学組成である。すべての星はひじょうに遠くにあるために、太陽よりもずっと暗くみえるが、実際には太陽より明るい星もある(→ 等級)。太陽や、食連星のようにペアをなす星の質量は、直接計算することができる。ペアをなす星は、太陽の周りを惑星がまわっているのと同じようにして、たがいに周りをまわっている。これらの回転が重力によるものだとすると、万有引力の法則を応用することにより星の質量を数学的にもとめることができる。くわしくしらべられたもっとも近くにある50個の星のうち、太陽よりも明るく、大きく、質量が重い星は、その10%である。分光研究によって、大部分の星がおもに水素で構成されていることがわかっている。→ 星
太陽が放射している膨大なエネルギーがどのようにしてつくられるのか、長い間なぞであった。太陽は3.86 × 1026W(5.18 × 10²³hp)を放射している。地質学的な証拠から、地球上には数十億年前から生命が存在したことがわかっている。ということは、太陽エネルギーは現在と同じ割合で数億年間は放出されていたにちがいない。1938年、アメリカの天体物理学者ハンス・ベーテは、太陽エネルギーは水素原子をヘリウムに変換する核融合によってつくられる、という理論を提案した。
質量の大きな星ほど、寿命は短い。星の一生のサイクルのおもな段階は、光学望遠鏡によって明らかにされた。まず星は、濃い分子雲の端辺りで収縮をはじめる。この収縮によって星の内部はだんだん熱くなり、その後、主系列星として長い時間をすごす。一生の最後に近づくと、星はふくらんで赤色巨星となり、やがて外層をうしなうことで最終的に白色矮星(わいせい)となる。
1960年代、イギリスの電波天文学者ジョスリン・ベルは、星のような天体からやってくる、脈をうつように変化する信号を発見した。これはパルサーとよばれる。イギリスの電波天文学者アンソニー・ヒューイッシュの研究によって、パルサー源が白色矮星よりももっと凝縮した天体であることがわかった。パルサーは明らかに星の一生の最終段階であり、もとの星は太陽の8倍以上の質量をもっていた。もとの星の質量がさらに大きいと、ブラックホールになると考えられる。ブラックホールは、光さえもそこからにげだすことのできない、ひじょうに密度の高い天体である。71年に、白鳥座にブラックホールが存在することをしめすX線が検出された。このX線は、光速に近い速度まで加速されてブラックホールにおちていくガスがだしていると考えられている。その後、ひじょうに活動的な銀河の中心に巨大なブラックホールが存在しているのではないかという可能性も主張されている。94年、M87銀河の中心にブラックホールが存在していることをしめす証拠が、ハッブル宇宙望遠鏡によって観測され、ブラックホール周辺のガスの加速を測定した結果、その質量は太陽の25億倍から35億倍あると推定されている。