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| XI. | 銀河系 |
1778年、ウィリアム・ハーシェルは、口径210cmという当時最大の反射望遠鏡を次々とつくり、天体観測をおこなった。この研究で、天王星のほか数個の衛星と多くの二重星、無数の星団と星雲を発見した。空の各領域の星をかぞえたハーシェルは、太陽は、回転研磨盤の中の研磨剤の粒子のように配置された、広大な星の雲に属する星のひとつである、と確信した。彼のたとえにしたがうと、回転研磨盤の奥深くに太陽が位置し、その近くにある小さな惑星の住人が水平方向をみると、天の川とよばれる暗い遠くの星からなる帯が空を完全にとりまいているようにみえ、上か下をみると近くの少数の星しかみえない。
最近の調査によって、天の川、つまり私たちの銀河系は重力によってたがいにむすびつけられ、遠くの中心の周りを回転する星の集合であることが確認された。銀河系の構造を研究するうえで、もっとも重要なのは、星の距離に関する知識である。星の距離を測定する視差による方法は、もっとも近くにある数千の星にしか有効ではない。すでにわかっている星固有の明るさと、見かけの明るさとを比較することで、その星までの距離が測定できる。ケフェウス型変光星(→ 変光星)とよばれる星は明るさが周期的に変化する。その周期は星固有の光度による。周期と光度の関係がアメリカの天文学者ヘンリエッタ・スワン・レビットによって発見されたのち、アメリカの天文学者シャープリーは天の川全体にちらばっているケフェウス型変光星をつかって、銀河系の大きさを測定した。秒速30万kmの速さをもつ光が、銀河系をとりまくハローの端から端まで到達するのに40万年かかる。目にみえる渦巻の長さはその半分以下である。銀河系は、共通の中心の周りをまわる全部で約1000億個の星で構成されている。銀河系の中心から約3万光年の所に位置する太陽は、毎秒約210kmの速さでうごいており、1回転するのに約2億年かかる。
天の川の星と星の間には大量のちりやガスがちらばっている。この星間物質が遠くの星からやってくる可視光線をさえぎってしまうために、地上にいる観測者は、天の川の遠い部分をくわしく観察することができない。1932年、アメリカの電気技師K.G.ジャンスキーが天の川からやってくる電波を発見したことによって、電波天文学という新しい分野がひらかれた。のちの研究によって、これらの放射の一部は星間物質からのものであり、残りはかつて電波星とよばれた別の源からきていることがわかった。銀河系の遠い部分からやってくる電波は、可視光線をさえぎる星間物質をとおりぬけることができるので、光学望遠鏡ではみることのできなかった領域も観測できるようになった。この観測によって、銀河系は、古い星からなる扁平のバルジ(ふくらみ)と、熱く若い星がつくる渦巻の腕からなる外側の円盤、大きくひろがった暗い星のハローで構成される渦巻銀河であることがわかった。86年、電波望遠鏡でこの外側の円盤を観測しているとき、天文学者は史上はじめて、へびつかい座の中に500光年のかなたで星が誕生するのをみた。
銀河系の中心核は最近まで、星間物質の雲によってかくされたなぞの領域であった。1983年に赤外線天文衛星(IRAS)がうちあげられてからは、その領域の映像がえられるようになった。地球の大気にさえぎられることがないので、IRASに搭載されたセンサーは、銀河系の中心にある無数の赤外線エネルギー源の位置と形を、くわしく記録することができた。映像の中に、星ではないが星団にしては小さく、質量の大きな天体が1つ発見されている。これはブラックホールであることが証明されるかもしれない。→ 赤外線天文学:電波天文学