天文学
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天文学
II. 天文学の始まり

昼と夜、太陽、月と星に好奇心をいだいた古代人は、天体が規則的にうごいていることに気づいた。この規則性は、地上で時間と方角を知るのに役だつ。天文学は、最古の文明が誕生したときから、いつ穀物をうえたり収穫したりすればよいか、また宗教的儀式をいつおこなったらよいかを正確にさだめ、長期にわたる交易の旅や航海で方角や緯度を知るために、発達してきた。天文考古学:航法

古代人は、天体の動きの中に多くの規則性をみいだした。昼と夜とをわける明るい太陽は、毎朝東からのぼり、日中は着実に天を移動し、ほぼ反対の方角である西にしずむ。夜には、数千個の星が似たようなコースをたどる。星は星座とよばれるグループを形成し、天の北極とよばれる天の固定点を中心に回転しているようにみえる。

北半球の温帯地方では、人々は昼と夜の長さが同じではないことに気づいた。昼が長いときには、太陽は真東よりも北からのぼり、正午には天高くまであがる。夜が長いときには、太陽は真東よりも南からのぼり、正午になってもそれほど高くまではあがらない。日没後に西にみえる星や日の出前に東にみえる星を観測すると、太陽と星の相対的な位置が少しずつ変化していることがわかった。太陽が約365日で天を一周することを最初に発見したのは、たぶんエジプト人だっただろう。黄道

さらに観測をつづけることで、天には月と5つの明るい惑星があることがわかってきた。これらの天体は太陽とともに、黄道帯とよばれるせまい帯の範囲内で、天を一周している。月は黄道帯をすばやくまわり、約29.5日ごとに太陽においつく。この期間は朔望月(さくぼうづき)とよばれている。古代の星の観測者は、暦に日、月、年を矛盾のないようにまとめようとしが、ひと月も1年もその中にふくまれる日数が整数にならないことがわかった。そこで暦の製作者は、連続する月や年にことなる日数をわりふり、長期の平均をとるとほぼただしい値になるようにした。近代の暦は400年に97回の閏年(うるうどし)をおいており、1年の平均の長さは365.2425日となる。この値は、天文学的に計測された日数、365.24220日にきわめて近い。

太陽と月はつねに黄道帯を西から東へと移動している。5つの明るい惑星である水星、金星、火星、木星、土星も、ふだんは背景の星に対してやはり東向きにうごいているが、火星、木星、土星は、それぞれの朔望期間に、ことなる期間だけ西向きに逆行するようにうごく。したがってこれらの惑星は、周期的に輪をえがきながら東向きのコースを不規則にたどっているようにみえる。古代の人々は、惑星の運動が自分たちの運命と関係していると考えていた。占星術によって、惑星の運動を予測する数学の理論が発達し、さらに天文学の研究がすすむことになった。