| 検索ビュー | 癌 | 項目ビュー |
| I. | プロローグ |
悪性腫瘍、悪性新生物ともいう。癌細胞とよばれる悪性の細胞が、異常に増殖して周囲の組織を破壊する病気。さらに、血管やリンパ管(→ リンパ系)などにはいりこみ、はなれた所にはこばれてほかの臓器に転移し、無制限な増殖によって生命をうばう。癌細胞の異常な増殖は、細胞の増殖や分化の制御にかかわる遺伝子群(癌遺伝子、癌抑制遺伝子)の異常によっておこる。このことから、癌は「遺伝子」の病気とされる。
1981年(昭和56)、癌は、脳血管障害にかわって日本人の死亡原因の第1位となった。97年(平成9)には、癌による死亡者数はおよそ27万5000人に達した。これは、総死亡者の約30%に相当する数字である。
発生する場所(原発部位)や細胞の種類によって、多くのタイプに分類されるが、大きく3種類にわけられる。(1)癌腫:ヒトの癌としてはもっとも頻繁に発生し、皮膚や、体腔および器官の内面など上皮性組織(→ 組織)、または乳房や前立腺のような腺組織に生じる。(2)肉腫:骨、血管、筋肉、脂肪など、非上皮性組織から発生する。(3)白血病およびリンパ腫:造血組織の癌、およびリンパ節やその他のリンパ組織のリンパ球に由来する癌。リンパ腫は非上皮性だが、肉腫とはいわない。癌腫と肉腫では、9対1の割合で癌腫が多い。
最近になって、癌細胞が増殖し、いつまでも死なない仕組みにはテロメラーゼという酵素がかかわっていることが、アメリカの研究者によって明らかにされた。このことから、細胞にふくまれるテロメラーゼをしらべて細胞の癌化を確認する診断法の確立が期待される。さらに、この酵素の抑制による治療法の可能性もさぐられている。
| II. | 病気の特徴 |
| 1. | 腫瘍 |
ほとんどの癌が腫瘍を形成するが、すべての腫瘍が癌性、つまり悪性というわけではなく、良性のものも多い。良性腫瘍は、かぎられた部位で増殖する。ふつうは被膜におおわれ、周囲の組織とへだてられ、一般にゆっくり増殖し、構造は原発部位の組織とよく似ている。しかし、良性腫瘍も、たとえば脳の中にある場合は、周囲の組織を閉塞(へいそく)、圧迫し、患者を危険にさらすことがある。また、大腸ポリープのように、良性腫瘍の中には、将来悪性腫瘍になる可能性のあるものもある。
| 2. | 浸潤と転移 |
癌のもっとも重要な特徴は、原発組織の範囲をこえて広がる能力をもっていることである。癌細胞は、浸潤といって、連続的に周辺の組織にはいりこみ広がっていく。また、遠い部位に転移する。転移の経路と部位は、原発病巣によってことなる。
癌が、原発臓器の表面から体腔に広がっていくとき、癌細胞はばらばらになって周辺の臓器にはいりこんでいく。
癌細胞はリンパ管の中にはいりこみ、リンパ節にはこばれるか、あるいは血管内に侵入することもある。癌細胞は血流にのり、血管が細くなって大きな癌細胞がとおれなくなる所まではこばれる。消化管の癌に由来する細胞は、肝臓にはこばれてとまる。その後、肺にいくこともある。その他のすべての癌に由来する細胞は、ほかの臓器にはこばれる前に肺にいく。したがって、転移部位としては肺と肝臓が多い。→ センチネルリンパ節
多くの癌は、初期段階で細胞を血液中に放出する傾向がある。それらの細胞のほとんどが血流の中で死滅するが、なかには血管の表面にとどまり、壁をつきやぶって組織に侵入する細胞もある。いくつかは、それぞれの細胞にとって都合のよい組織に到達して生きのこり、増殖して癌を形成する。なかには数回しか分裂せずに、微小転移巣として休眠状態になる場合もある。休眠状態は何年もつづくこともあり、なんらかの原因で再発癌として増殖をはじめることもある。
癌細胞は、ばらばらに広がっても、その起源組織の物理的、生物学的特性をたもっている。したがって、癌組織を顕微鏡でしらべれば、 転移の起源部位を確定することができる。内分泌腺(→ 内分泌系)の癌の場合、癌細胞が、母組織の生成するホルモンを過剰に分泌するので、起源組織の識別が容易である。また、母組織をコントロールしているホルモンをそれらの癌に投与すると、治療効果がみられることがある。
一般に、癌はその母組織と似ていなければ似ていないほど悪性で、はやく浸潤していく傾向があるが、癌の増殖速度は、細胞のタイプや未分化の程度ばかりでなく、癌にかかった人のさまざまな因子によっても影響される。癌細胞そのものが異常に増殖するために、変異もおこりやすい。また、化学療法や放射線に対する癌の抵抗性が強くなる可能性がある。
| III. | 癌の原因 |
癌は、基本的に遺伝子の異常によっておきる病気である。正常細胞には癌遺伝子(オンコジーン)と癌抑制遺伝子があり、前者が活性化し、後者が不活性化すると、癌が発生する。これらの遺伝子を変化させ癌を発生させる引き金となるのは、発癌物質である。
発癌物質には、ウイルス、放射線(→ 放射線障害)、フリーラジカル、化学物質、遺伝、免疫系の変化などがある。長い間、これらのさまざまな因子は別々に作用しているとみられてきたが、現在では、これらの因子がたがいに作用して悪性腫瘍をつくると考えられ、その研究がおこなわれている。
| 1. | 遺伝 |
癌は遺伝子の病気といっても、多くは後天的に体細胞の遺伝子に障害がおこって生じる。先天的な遺伝にもとづく癌は多くない。しかし、癌によっては、乳癌のように、同一家系に多く発生するものもある。大腸癌は、大腸の中に多くのポリープをつくりやすい家系によくみられる。網膜芽細胞腫のあるタイプは、ある特定の遺伝子が消失したときにのみ発生することがしめされている。発癌物質に対する体の防御力を弱くする遺伝的な異常は、前立腺癌に関連している。いくつかの遺伝的障害の中で、染色体切断がおこる頻度は比較的多く、そのような病気が癌をまねくのかもしれない。
| 2. | ウイルス |
ウイルスは、多くの癌の原因となる。癌ウイルスは、もっている遺伝情報がDNA(デオキシリボ核酸)かRNA(リボ核酸)かによって、DNA型とRNA型とにわけられる。ヒトでは、EBウイルス(エプスタイン・バールウイルス)が、バーキットリンパ腫やリンパ上皮腫に関係があり、肝炎ウイルス(→ 肝炎)は肝癌に、乳頭腫ウイルスは子宮頸癌(→ 子宮癌)に関係している。これら癌のウイルスは、DNA型ウイルスである。成人T細胞性白血病をおこすHTLVは、RNA型ウイルス(レトロウイルス)である。RNA型ウイルスはRNAをDNAにかえる逆転写酵素とよばれる酵素をもっている。ウイルスの遺伝情報は、ヒトの細胞のDNAの中にとりこまれ、細胞を癌化させる。
| 3. | 放射線 |
放射線は癌の原因となる可能性が高い。放射線により、染色体が切断や他の染色体への転座をおこし、2つの切れた端がくみかえられるなどして、DNAに変化を発生させる。その変化が発癌性のイニシエーター(開始因子)としてはたらき、何年もの潜伏期をへて癌の進行に変化をもたらす因子として作用する。この潜伏期間中に、さらにその他の発癌因子にさらされることになる。
| 4. | 化学物質 |
化学物質が癌を生じさせる過程は、さまざまな研究がされている。ある化学物質はイニシエーターとして作用する。イニシエーターにさらされるのは1回で十分だが、長い潜伏期ののち、さらにプロモーター(促進因子)として作用する他の化学物質にさらされ、はじめて発癌する。イニシエーターはDNAに回復不能の変化をおこす。プロモーターはDNAを変化させないが、DNAの合成を促進させ、遺伝子の発現を誘導する。プロモーターがイニシエーターの前に作用しても影響はないが、イニシエーターのあとに、ある期間くりかえし作用した場合には影響がある。
たとえば、タバコの煙の中には、多数のイニシエーターやプロモーターとなる物質がふくまれている。このプロモーターの作用はきわめて重大で、喫煙をやめれば肺癌の危険性は低下する。アルコールはもうひとつの有力なプロモーターで、喫煙者の肺癌と同じく、慢性的な多飲は、他の化学物質によって誘導される癌にかかる危険性をひじょうに高める。
発癌性のある化学物質もまた、染色体の切断や転座をひきおこす(→ 発癌物質)。よく知られている発癌性のある物質には、ベンゼン、アスベスト、アミノビフェニルなどがあり、法律で規制されている。→ アスベスト汚染
| 5. | 免疫系 |
免疫系は癌細胞を認識することができ、また、それらを破壊する細胞を生みだすようにしむける能力があるとされる。癌の進行には、免疫不全状態をまねく疾患や、そのほかの損傷が重要な因子となる可能性もある。このような状態は、エイズ(後天性免疫不全症候群)や先天性免疫不全症の患者や、免疫抑制薬を投与した患者におこる。
| 6. | 環境 |
癌の80%は、環境要因によってひきおこされると推定されている。なかでも喫煙は、すっている本人も、周りの人も害をうける。肥満は多くの癌の危険因子であり、とくに乳癌、大腸癌、子宮癌、前立腺癌などになりやすい。また、食物繊維の少ない食事や脂肪は、大腸癌の発病率と関係がある。食品中の脂肪と肥満は、アルコールのようにプロモーターとして作用すると考えられている。
| IV. | 発現率 |
日本人の3大死因は、癌、心疾患(→ 心臓の「心臓の病気」)、脳血管疾患であり、1981年(昭和56)以来、癌が死因順位の1位となっている。癌の発現率は国によって大きな差がある。これらは、民族的な違いよりも、ライフスタイルの違いによるものとみられている。
部位別の罹患(りかん)率を欧米諸国と比較すると、日本人では、胃癌の罹患率が高く、乳癌、直腸癌、前立腺癌が比較的少ないといわれてきたが、1993年に男性の肺癌死が、長年トップを占めてきた胃癌死をぬいた。女性では依然として胃癌がトップである。近年の死亡率は、男性の場合、胃癌は減少傾向にあるが、肺癌、肝癌、大腸癌が増加している。女性では胃癌と子宮癌が減少しているが、大腸癌、肺癌、肝癌、乳癌が増加傾向にある。
| V. | 検査と診断 |
癌は、早期に診断、治療するほど、治癒する可能性が高い。健康にみえる人でも定期検診をうけていれば、症状がでる前に癌を発見することができる。乳癌、結腸および直腸の癌、子宮頸癌、前立腺癌などについては、かなり精度の高い判別検査法が開発されている。
集団検診では発見しにくい癌の早期発見は、患者自身が病気の徴候にはやく気づくかどうかにかかっている。以下は、7つの典型的な癌の危険信号である。(1)排便や排尿習慣の変化、(2)なおりにくい痛みやただれ、(3)異常な出血、あるいは分泌、(4)乳房、その他の部位の肥厚やしこり、(5)消化不良、あるいは嚥下(えんか)障害、(6)いぼやほくろの明白な変化、(7)なかなかおさまらない咳やしわがれ声。
癌の診断にあたっては、まず、視診や、皮膚、頸部、乳房、腹部、睾丸(こうがん)、リンパ腺などのように確認しやすい部位の触診をふくむ徹底的な既往歴の調査と検査をする。直腸癌や前立腺癌、子宮頸部や子宮体部の癌では内診をする。X線や内視鏡などをつかった検査(→ 内視鏡診断)、細胞診、組織を一部採取して調べる生検(バイオプシー)もおこなわれる。
| 1. | 病期 |
癌の程度、すなわち病期(ステージ)によって、予後や治療法がことなる。癌の組織検査を実施してその病期を判断する。病期は、それぞれ部位別の癌ごとに、Ⅰ期、Ⅱ期、Ⅲ期、Ⅳ期に分類される。この分類は、予後がどの程度かという観点から、かぎられた部位の小さな癌、周囲に浸潤はあるがかぎられた部位の癌、リンパ節への転移がみられる癌、遠隔臓器に転移のある癌など、癌の進行度によってきめられる。
| VI. | 治療 |
癌の治療は、一般に手術、放射線療法、化学療法などがおこなわれる。最近では、生体応答調節物質(BRM)の利用などの免疫療法や温熱療法などの新しい治療もこころみられている。
| 1. | 外科手術 |
癌の治療の基本は、外科手術によってすべての悪性細胞をとりのぞくことである。かつては、腫瘍のある組織すべてをとりさり、さらに、周りの組織やリンパ節もふくめ、関連があると思われる組織をできるだけとってしまうという方法がとられた。いくつかの癌、たとえば乳癌の場合には、乳房切除術のような根治的手術がつねに必要であるわけではない。医療技術の進歩や知識の向上、薬の開発などによって、広範囲の手術がさけられるようになり、回復もはやく、後遺症も少なくなっている。
しかし、診断の時点で癌の病期が進行しすぎている場合は、手術をしても治癒できないこともある。かぎられた部位の癌が、手術が不可能な周囲の組織に浸潤している場合や、遠隔臓器への転移がすでにある場合は、手術をしてもなおらない。しかし、手術ではなおらなくても、閉塞(へいそく)をとりのぞいて症状を軽くしたり、癌を小さくすることによって、その後の放射線療法や化学療法への反応を改善するなど、手術が役だつ可能性はある。
| 2. | 放射線療法 |
放射線を照射して、癌細胞を破壊する治療法。深部の癌など手術による切除がむずかしい場合や、補助療法として手術の前や後にもちいられる。また、再発や転移をふせぐ目的でもおこなわれる。→ 放射線医学
| 3. | 化学療法 |
薬物をつかって癌を治療する方法をいう。薬物は血流によって体の隅々にまではこばれるので、手術や放射線では治療できないところにまで広がった癌に有効である。さまざまなタイプの抗癌剤が使用されているが、そのほとんどが癌細胞のDNAの合成や機能をさまたげるものである。したがって、活発に分裂する細胞ほど化学療法に対し感受性がある。正常組織は癌よりも分裂細胞が少なく、薬に対して抵抗性をしめす。
化学療法に感受性が高く、高い確率で治癒が可能な癌には、子宮癌、小児の急性白血病、ホジキン病、びまん性大細胞性リンパ腫、睾丸癌、卵巣癌、肺の小細胞癌、いくつかの小児の癌などがある。これらの癌は、診断されたときにはすでに広がっている場合が多く、ほかの手段では治療が不可能な場合が多い。化学療法はその他の進行癌でも、長期にわたって癌をコントロールしうるので、一般に癌の一時的緩和にもちいられる。
化学療法のおもな問題は、ほとんどの治療薬が高い毒性をしめすので、毒性をコントロールし、耐性のリスクを減らすことである。化学療法を実施するときは早めに治療を開始し、適正量の薬剤をできるだけはやく反復使用する一方、患者に、毒性から回復する機会をあたえることが重要である。また、骨髄移植や末梢血幹細胞移植などの支持療法の進歩もいちじるしい。
化学療法をおこなう場合は、多剤併用療法といって、作用の仕組みのことなる数種の抗癌剤を同時につかうことが多い。ただし、抗癌剤とほかの薬剤を併用したときに、予想外に強い副作用がでることがあるので、専門医でも細心の注意が必要とされる。
化学療法は、外科手術や放射線療法と併用されることもある。最初の治療として手術をした場合に、補助療法としてもちいる。ふつうは手術後におこなうことが多い。併用療法により乳癌の治癒率は大幅に向上した。化学療法を補助療法としておこなうおもな目的は、手術前からすでにあった微小転移巣を消滅させることである。最近では、化学療法が補助療法として手術の前におこなわれている。この療法は補助的な化学療法として同様の効果があるが、癌を小さくして手術をしやすくすることもできる。
→ 癌休眠療法
| 4. | ホルモン療法 |
乳房、前立腺、子宮内膜、甲状腺など、ホルモンの支配をうけている組織に発生する癌の多くは、ホルモン操作に感受性が高い。これらの癌には、ホルモン剤を投与するホルモン療法がおこなわれる。
| 5. | その他の試み |
癌の治療について、将来性のある新しい方法がいくつかこころみられている。たとえば、免疫賦活療法では、生体応答調節剤という薬が、癌に対する生体の応答力を調節するために使用される。また、ある特定の細胞を刺激して、その細胞に悪性細胞を攻撃させるという方法がある。そのもっともよい例は、インターロイキン-2をもちいて、患者のリンフォカイン活性化キラーリンパ球(LAK細胞)を刺激するという方法である。
腫瘍特異抗原に関する研究も盛んにおこなわれており、その抗原に対する抗体の活性化がこころみられている。これらの抗体は悪性細胞を識別して付着するので、薬剤が直接、目標の部位にはこばれる。化学療法剤と併用することもある。→ 癌ワクチン
癌がなおっても、癌患者には重い障害がのこる場合もある。リハビリテーションの技術や再建手術などにより、できるかぎり質の高い生活(→ クオリティ・オブ・ライフ)ができるようにあらゆる努力がなされる。完治できない末期癌患者のためには、緩和療法によって、数カ月、あるいは数年間を快適に生きられるようにするホスピスでのケアなどもおこなわれる(→病院の「ホスピス」:緩和ケア)。痛みは大きな問題であるが、今日では以前よりはるかに質の高い疼痛治療がおこなわれるようになっている。
| VII. | 癌治療の可能性 |
日本人の癌による全死亡者数の推移をみると、1950年(昭和25)の約6万4000人が現在は27万人をこえ、増加の一途をたどっている。基準人口をもちいて、年齢構成のゆがみを補正した年齢調整死亡率でみると、男性はゆるやかに上昇しているが、女性は低下傾向にある。胃癌と子宮癌は、早期発見、早期治療の効果が大きく、その死亡率はいちじるしく減少してきている。一方、肺癌の死亡率は、男女とも大きく増加している。肺癌の発生に喫煙が関与していることは明らかであり、禁煙が徹底されれば、将来的に肺癌の死亡率は大幅に減少するといわれている。また、乳癌による死亡率も上昇しており、84年には子宮癌による死亡率をうわまわるようになった。大腸癌、膵臓癌、胆嚢(たんのう)癌も、男女ともに増加している。
癌の治療の効果を判定するには、治療を開始してから満5年を経過して、癌が再発せずに生存している割合である5年生存率をもちいる。胃癌、大腸癌、乳癌では、早期に発見された場合は、5年生存率はほぼ100%で、完全に治癒することがわかっている。肺癌もⅠ期に発見された場合の5年生存率は上昇している。
| VIII. | 癌の予防 |
早期に発見し、治療すれば、癌もなおるようになってきたが、もっとも大切なことは、癌を予防することである。癌発生の原因の30%が喫煙であり、さらに30%は食生活に原因があるといわれている。日常生活で、次の「がんをふせぐための12カ条」(財団法人がん研究振興財団)を積極的にまもれば、癌の約60%はふせげるといわれている。
(1)バランスのとれた栄養をとる。
(2)毎日、変化のある食生活を。
(3)食べ過ぎをさけ、脂肪はひかえめに。
(4)飲酒はほどほどに。
(5)タバコはすわないようにする。
(6)食べ物から適量のビタミンと多くの繊維質をとる。
(7)塩からいものは少なめに、あまり熱いものはさましてから。
(8)こげた部分はさける。
(9)かびの生えたものは食べない。
(10)日光にあたりすぎない。
(11)適度にスポーツをする。
(12)体を清潔にする。
日常生活に注意することで、癌をかなり予防できるといっても、その発生を完全におさえることはできない。したがって、発生した癌を早期に発見し、早期に治療することが大切である。多くの場合、癌の自覚症状は病気がかなり進行しないとあらわれないものである。したがって、胃、肺、子宮、乳房、大腸などの、癌の発生頻度の高い臓器の定期検診と、女性では乳房の自己診断を実行することで、癌による死亡率を大幅にさげることができる。最近では検査技術も向上し、各自治体でも癌の予防活動が積極的におこなわれている。早期発見、早期治療のために、少なくとも年に1回は定期検診をうけることがのぞましい。
各部位別の癌については、それぞれの項目を参照。→ 悪性リンパ腫:胃癌:肝臓癌:子宮癌:小児癌:食道癌:膵臓癌:前立腺癌:大腸癌:頭頸部癌:卵巣癌:乳癌:肺癌:白血病:皮膚癌:膀胱癌