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II. 病気の特徴
1. 腫瘍

ほとんどの癌が腫瘍を形成するが、すべての腫瘍が癌性、つまり悪性というわけではなく、良性のものも多い。良性腫瘍は、かぎられた部位で増殖する。ふつうは被膜におおわれ、周囲の組織とへだてられ、一般にゆっくり増殖し、構造は原発部位の組織とよく似ている。しかし、良性腫瘍も、たとえば脳の中にある場合は、周囲の組織を閉塞(へいそく)、圧迫し、患者を危険にさらすことがある。また、大腸ポリープのように、良性腫瘍の中には、将来悪性腫瘍になる可能性のあるものもある。

2. 浸潤と転移

癌のもっとも重要な特徴は、原発組織の範囲をこえて広がる能力をもっていることである。癌細胞は、浸潤といって、連続的に周辺の組織にはいりこみ広がっていく。また、遠い部位に転移する。転移の経路と部位は、原発病巣によってことなる。

癌が、原発臓器の表面から体腔に広がっていくとき、癌細胞はばらばらになって周辺の臓器にはいりこんでいく。

癌細胞はリンパ管の中にはいりこみ、リンパ節にはこばれるか、あるいは血管内に侵入することもある。癌細胞は血流にのり、血管が細くなって大きな癌細胞がとおれなくなる所まではこばれる。消化管の癌に由来する細胞は、肝臓にはこばれてとまる。その後、肺にいくこともある。その他のすべての癌に由来する細胞は、ほかの臓器にはこばれる前に肺にいく。したがって、転移部位としては肺と肝臓が多い。センチネルリンパ節

多くの癌は、初期段階で細胞を血液中に放出する傾向がある。それらの細胞のほとんどが血流の中で死滅するが、なかには血管の表面にとどまり、壁をつきやぶって組織に侵入する細胞もある。いくつかは、それぞれの細胞にとって都合のよい組織に到達して生きのこり、増殖して癌を形成する。なかには数回しか分裂せずに、微小転移巣として休眠状態になる場合もある。休眠状態は何年もつづくこともあり、なんらかの原因で再発癌として増殖をはじめることもある。

癌細胞は、ばらばらに広がっても、その起源組織の物理的、生物学的特性をたもっている。したがって、癌組織を顕微鏡でしらべれば、 転移の起源部位を確定することができる。内分泌腺(内分泌系)の癌の場合、癌細胞が、母組織の生成するホルモンを過剰に分泌するので、起源組織の識別が容易である。また、母組織をコントロールしているホルモンをそれらの癌に投与すると、治療効果がみられることがある。

一般に、癌はその母組織と似ていなければ似ていないほど悪性で、はやく浸潤していく傾向があるが、癌の増殖速度は、細胞のタイプや未分化の程度ばかりでなく、癌にかかった人のさまざまな因子によっても影響される。癌細胞そのものが異常に増殖するために、変異もおこりやすい。また、化学療法や放射線に対する癌の抵抗性が強くなる可能性がある。