| 検索ビュー | ビール(飲料) | 項目ビュー |
| I. | プロローグ |
穀物の麦芽(モルト)、ホップ、水、副原料のデンプン(米、コーンスターチなど)を原料として発酵させたもので、麦芽の使用率(重量比)が水をのぞいた3分の2以上とさだめられている。麦芽100%のビールには、副原料はつかわれていない。ビールより税金がやすいため、価格が手ごろで人気の麦芽発泡酒は、麦芽の使用率が3分の2未満で発泡性を有するものとさだめられ、雑酒に分類される。麦芽が3分の2以上でも果汁などをくわえたものは、発泡酒に属する。ノン・アルコールビールはビールの風味をした清涼飲料水。アルコール依存症の患者や青少年の飲酒、飲酒運転などの防止のためにつくられたものである。
| II. | 保存法と飲み方 |
ビールは直射日光のあたらないすずしい場所で保管し、夏なら6~8°Cで5~6時間、冬なら10~12°Cで2~3時間、冷蔵庫で冷やすと飲みごろになる。冷やしすぎると濁りが生じる。保存期間が長くなると鮮度がおちるため、できるだけ早めにのむこと。
グラスに油気がついていると泡がきえてしまうので、グラスはきれいに洗い、自然乾燥させる。泡は炭酸ガスを封じこめ、ビールが空気とふれて味がおちるのをふせぐ役目をする。きれいな泡をつくるつぎ方は、静かにつぎはじめ、だんだん勢いよくついで泡をたて、最後は泡をもちあげるようにまた静かにつぐ。泡は上部3割くらいが理想的。泡を最後までけさないでのむのもコツである。
| III. | 醸造法 |
ヨーロッパ諸国やアメリカのビールは、それぞれ味や中身がいちじるしくちがうが、醸造の方法はかわらない。アメリカではビールといえば一般にラガービール(販売前にしばらく貯蔵したもの)をさし、成分は、おおよそ水分90%、アルコール3.5%、炭酸ガス0.5%、タンパク質、炭水化物、ミネラル、香料からなるエキスが6%となっている。
まず、オオムギを水にひたして発芽させ、麦芽にかえて加熱して乾燥するが、乾燥すると麦芽に香りと焦げ色がくわわる。次に麦芽と米などの副原料を粉砕して温水をくわえてまぜ、発酵させる。その後、この麦汁を濾過(ろか)し、ホップをくわえて煮沸後、ホップかすと澱(おり)をのぞいて5~10°Cに冷やし、酵母をくわえて発酵させる。酵母は麦汁中の糖分をアルコールと炭酸ガスに分解し、若ビール(Green Beer)になる。若ビールは未熟で味にまろやかさがないが、少量の酵母をくわえて1カ月貯蔵すると熟成して澄んでくる。ふたたびフィルターで濾過して酵母と濁りをのぞき、瓶や缶、樽(たる)につめ出荷される。
ビール用のオオムギには、粒が大きくデンプンの多い二条オオムギと、小粒で酵素の力の強い六条オオムギがあるが、おもに二条オオムギがつかわれている。なかにはコムギをつかったものもある。醸造の際にビールの10倍の水がいるといわれる。水質もビールの味をきめる重要な要素であり、淡色ビールには軟水が適する。産地によりビール醸造に適した水があり、このようなビールには生産地の名前がつけられることが多い。たとえば、ミュンヘン、ピルゼン、ミルウォーキーなどである。ホップは乾燥させた雌花をつかうが、ビール特有のほろ苦さと香りをつけ、色をよくして保存性をます働きをする。
| IV. | 種類 |
ビールは酵母、色、殺菌方法などの違いによってさまざまな分け方をされる。
酵母の種類では下面発酵ビールと上面発酵ビールにわけられるが、日本をはじめ世界のビールのほとんどは、下面発酵ビールである。下面発酵酵母は5~15°Cの低温でゆっくりと発酵し、発酵末期には酵母が底にしずむ。味はまろやかで、すっきりしたのどごしが特長。ラガービールのラガーは、ドイツ語で貯蔵を語源とする言葉で、低温で貯蔵した下面発酵ビールをさす。エールやスタウトなど上面発酵酵母は18~20°Cで発酵し、液面にうきあがってくるもので、イギリス、ベルギー、オランダなどではこのタイプのビールが多い。味は、苦みが強い、刺激臭がある、果実臭に似た香りがあるなど、個性的で癖が強い。
色では淡色ビール、濃色(黒)ビール、中等色ビールにわけられる。色の違いは発芽や焦げの度合い、それらの混合の量の差によっておこる。淡色ビールはすっきり、さわやかな味で、世界の大勢を占めるが、濃色ビールは濃厚で風味があり、ドイツなどで根強い需要がある。
殺菌方法は、瓶や缶につめたあと加熱処理しないものを生ビール、加熱処理して保存性を高めたものを加熱殺菌ビールという。現在は製造技術の発達により生ビールが多くなっている。
| V. | 歴史 |
ビールが飲料として常に高い人気をほこってきた理由は、長期の保存にも劣化することなく、またどんな気候にもあうからである。名前も形態も現在のものとはことなるが、ビールはかなり昔から製造されており、古代メソポタミア、エジプト、ギリシャでもつくられた。最初は家庭や修道院で醸造され、中世後期のヨーロッパではじめてビールが市販されるようになった。現代では、ほとんどの工業国で重要な産業となっており、とくにイギリス、ドイツ、チェコ、アメリカで盛んである。
新大陸では、コロンブスが到達する前にアメリカ先住民がビールを醸造していた。アメリカではじめてビールを醸造したヨーロッパ人はバージニアの入植者であり、1587年のことだった。ビールの製造は、アルコール分の高い酒の消費量をおさえる目的で初期の植民地法でも奨励された。
日本では、江戸末期に外国産のビールが移入され、醸造もこころみられていたが、本格的な生産は1869年(明治2)横浜でアメリカ人技師によってはじまった。明治半ばには、現在のアサヒビール、麒麟ビール、サッポログループの母体となるビール会社があいついで創立された。
| VI. | 次々できる地ビール |
1994年(平成6)4月1日から規制緩和政策にともなって酒税法が一部改正され、従来は最低製造量が年間2000キロリットル以上の業者にしかビール製造の免許がおりなかったものが60キロリットル以上にさげられ、中小の業者や自治体がビール製造をはじめられるようになった。現在、北海道から沖縄まで200以上の地ビールがあり、小規模ながら地域に密着した特徴のあるビールがつくられ、町おこしの目玉商品ともなっている。