検索ビュー スキー

この項目内で、特定の言葉で検索するには、[編集] メニューの [このページの検索] をクリックします。

入力した言葉とまったく同じ言葉で検索されます。見つからない場合は、別の言葉で検索してみてください。

スキー
I. プロローグ

両足にそれぞれ細長い板をつけ、雪上を移動するスポーツおよび技術をいう。スキー板は体重を広い面に分散させ、体が雪の中にしずむのをふせぐ。スキーには、アルペン、ノルディックとフリースタイルの3種類がある。アルペン・スキーは斜面をすべりおりる競技で、タイムによって勝敗がきまる。コースの長さや形によって滑降、回転、大回転、スーパー大回転の4種目がある。ノルディックの中のクロスカントリーは、比較的平らな面をすべる。試合では、さまざまな距離の、起伏のあるきめられたコースをはしってタイムをきそう。ノルディック・スキーの中のもうひとつの重要な競技に、急角度の斜面をすべりおり、空中へととびだすジャンプがある。この競技では、飛距離と飛型が採点の対象となる。2つの競技をくみあわせたノルディック複合もある。また1980年代以降、競技、あるいは遊びの対象として、フリースタイル・スキーの人気が高まってきている。

II. 用具

基本的な用具は、多少の違いはあっても本質的には全種目共通である。スキー板は、かつてはヒッコリーなど木製のものしかなかったが、現在は金属、あるいはグラスファイバーなど複合材料のものが中心となっている。スキーヤーの身長や好みに応じて長さも幅もさまざまである。先端は上方にカーブしている。アルペン用を基準にすれば、クロスカントリー用は幅がせまく軽量で、ジャンプ用は幅が広く、長く、そして重い。

靴は、アルペン用にはプラスチック製の深い靴がもちいられ、クロスカントリー用には甲部がナイロンや革製の、軽くて柔軟性のある浅い靴がつかわれる。アルペン用の靴は、つま先と踵(かかと)をビンディングではさんでスキー板に固定するが、転倒したときに靴が板からはずれるようになっていて、安全が確保される。クロスカントリー用の靴は、つま先だけのビンディングでスキー板に固定され、キックオフステップのために踵があがるようになっている。ストックは長さ1.2~1.5mのものが一般的で、バランスをとり、動きのきっかけをつくるためにつかう。軽量合金や複合材料のパイプでできており、グリップとストラップをそなえ、先端には雪をしっかりつかむためのリングがついている。

III. アルペン種目

アルプス周辺で発達したスキー術をきそうため、この名があり、コースの長さも形もことなる4種類の競技がある。

1. 滑降競技

ダウンヒルともいう。標高差800~1000m(女子は500~700m)の急斜面を可能なかぎりの高速で、ほぼ一直線にすべりおりることを目的とする。ときには時速130km以上になることもある。競技者は、雪面をかためてつくったコースに設置された、一対の旗門の間を通過する。他のアルペン種目同様、旗門が設置される幅や位置はそのときどきでことなり、旗門の間を通過しさえすれば、ポールをたおしてもかまわない。1回の滑りで順位をきめる。

2. 回転競技

スラローム(ノルウェー語で「傾斜した走路」の意)ともいう。本質的にはこれも滑降だが、この競技では斜面をジグザグにすべりおりる。コースの長さはアルペン種目の中ではいちばん短く、標高差は180~220m(女子は130~180m)。競技者は52~78(女子は42~63)の旗門をくぐりぬけなければならない。この競技は連続して2つのことなるコースをすべり、その合計タイムで順位をきそう。小回りのターンを要求されるため、体の敏捷性(びんしょうせい)が必要である。

3. 大回転

ジャイアント・スラロームともよばれ、滑降と回転の中間的要素をもつ。第2次世界大戦終結後に、国際大会のスキー種目として本格的に採用された。回転とのおもな相違点はその規模で、コースは長さ1.6km前後、全標高差約250~400m(女子は250~350m)。2回の滑りでその合計タイムをきそう。

4. スーパー大回転

スーパーGともいい、滑降と大回転をあわせたような種目で、1983年から国際大会にとりいれられた。1回の滑りで順位が決定する。

IV. ノルディック種目

北ヨーロッパで発達した技術をきそう競技。

1. クロスカントリー

距離競技ともいい、スピードよりも持久力や力強さに重点をおいた種目である。とはいえ、トップクラスの選手の15kmレースのタイムは40分、50kmコースでは2時間10分を切る。一般におこなわれているのは、5~50km、あるいはそれ以上とさまざまである。3~4人でリレーするリレー競技もある。競技者がほぼ同じコースをたどれるよう、コースには色のついたマーカーで印がつけられている。水平方向の移動を主とする競技なので、標高差はあまりない。

クロスカントリー競技は交通手段の必要性から発展してきた。タイムを気にしなければ、若い人も老人もみな参加できるし、木の密生した地域にはあまりむかないが、急な斜面を必要としないので、世界じゅうどこでも可能なスポーツである。

クロスカントリーの基本的な走り方は、片方の足のけりと他方の足ですべるステップの組み合わせである。片側の足をけるとき、反対側の手のストックをつく。これらをスムーズに、そしてすばやく交互におこなう。1980年代に開発されたスケーティング走法では、スキーヤーはスキー板をV字にひらき、スキーの内側をおしだすようにして、左右にうごく。スケーティングをふくむすべてのテクニックを使用できるフリーテクニックと、片足または両足のスケーティングをふくまないクラシカルテクニックの2種類の競技会がある。

2. ジャンプ

急角度の助走路をすべりおり、踏切台のへりからスキーが着地した点までの飛距離点と、空中での姿勢と着地したときの姿勢を評価する飛型点を合算したポイントで勝敗をきめる。ジャンプ台の規模により、競技にはノーマルヒル(旧70m級)とラージヒル(旧90m級)のほか、オリンピック種目にはなっていないが、フライングヒルの3種目がある。

飛距離点はK点(極限点)を基準点60として計算される。K点は、ジャンプ台によりことなるが、通常ノーマルヒルでは90m、ラージヒルは120m、フライングヒルは185mを上限とする。ノーマルヒルの場合、K点のプラス・マイナス1mごとにプラス・マイナス2点、ラージヒルの場合はプラス・マイナス1mごとにプラス・マイナス1.8点が加算される。また飛型点は、5人の飛型審判員がそれぞれ20点満点の持ち点で減点法により採点し、そのうちの最高点と最低点を出した2人をのぞく3人の採点の合計点で算出される。たとえば、K点が90mのノーマルヒル競技で105mの飛距離を出し、5人の審判員の飛型点が18.5、19.5、18.0、19.0、20.0だった場合、飛距離点は60 + (2 × 15) = 90、飛型点は18.5 + 19.5 + 19.0 = 57となり、合計点は147点となる。天候条件が悪化しないかぎり、2回のジャンプの合計点で勝敗を決するが、2回目の競技にのぞむことができるのは、1回目の得点上位選手30人だけである。

ジャンプの成功はジャンプ能力より、むしろ平衡感覚と総合的な体のバランスにかかっている。最高のジャンプは、飛行中にうごかないでコントロールをたもち、ピタリと着地して、最初から最後までをながれるような一連の動作にすることである。風の抵抗をうけやすくするため、今日ではスキーをV字状に開くのが普通。また、着地のときは、2本のスキーを前後に開くテレマーク姿勢をとらないと減点される。

3. ノルディック複合

ノルディック種目のジャンプとクロスカントリーをくみあわせた複合競技。1990年代に日本選手がオリンピックやワールドカップで活躍して、日本でも一気に注目される競技になった。ジャンプでは瞬発力、クロスカントリーでは持久力と、相反する要素をあわせ持たなくてはならないために、勝者には「キング・オブ・スキー」の称号があたえられる。

個人戦、4人1チームでおこなう団体戦、個人スプリントの3種目があり、競技は基本的に1日目にジャンプ、2日目にクロスカントリーがおこなわれる。個人戦はノーマルヒル2回と15kmのクロスカントリー、団体戦はノーマルヒル各2回と4人がそれぞれ5kmずつをすべる20kmリレーをおこなう。ジャンプは2回とんで飛距離点と飛型点で得点をつけ、そのポイントを時間に換算して(個人戦の場合は12点で1分)、2日目のクロスカントリーをおこなう。ジャンプ首位の選手からタイム差で次々にスタートし、ゴールをあらそう。個人スプリントはソルトレークシティ・オリンピックから採用された新種目。ラージヒルでのジャンプ1回、クロスカントリー7.5kmと通常の半分であらそわれる。

V. フリースタイル・スキー

フリースタイル・スキーにはバレエ、モーグル、エアリアルの3部門がある。

バレエはフィギュアスケートとよく似た種目で、音楽にあわせてジャンプ、ターン、滑りをいれたプログラムをくむ。演技は2分15秒までとされている。コースは長さ260m、幅40mで、技術的な難易度、全体的な演技、振付の表現力で採点される。

モーグルはコブの多い斜面を高速ターンを駆使してすべる種目。ターンの質と技術、ジャンプの難度、それにスピードを採点される。

エアリアルでは特製のジャンプ台をつかい、空中でひねりや宙返りなどの演技をおこなう。踏み切り、空中での技、着地などが採点の対象となる。審判の点数は難度によって倍加され、最高と最低の点数は切りすてられる。

VI. スキーの歴史

雪上を移動するためになんらかの器具をつかうことは、古代からおこなわれていた。ギリシャの歴史家によれば、皮革や靴などがこの目的につかわれていたという。古代ノルウェーの神話にも同じ話がある。現存の記録の中で最古のスキーは、スウェーデンとフィンランドの沼地でみつかったものだ。4000~5000年前のものと推定され、湾曲した長い板を動物の皮でおおってある。

1. ヨーロッパ

近代スポーツとしてのスキーは19世紀半ばにノルウェーではじまり、やがてスカンディナビアに広がっていった。1883年にノルウェースキー協会が結成され、92年に最初の国際スキー競技会がクリスティアニア(現、オスロ)近郊で開かれた。クロスカントリーとアルペンの競技は別々におこなわれたが、両者の総合で勝敗がきまった。80~90年代には、ヨーロッパの他の国々でもスキーの人気が高まった。ノルウェー人探検家ナンセンがしるした、88年のスキーによるグリーンランド横断記の影響が大きかったのである。

1893年にはスイスで最初のスキークラブが設立され、20世紀に入ると、アルプスにおけるスキー登山の黄金期がはじまった。スキーによる探査のおもなものは、この時期におこなわれ、アルプス全体の地勢が探検され、記録された。1890年にはドイツで最初のスキークラブが設立され、96年には同国でスキー競技会が開かれた。これよりおくれて98年にはフランスのシャモニーにスキーが定着し、以後、着実に人気を博すようになった。地形や雪質にめぐまれた中央ヨーロッパやロシアでも、急速に広まった。

第1次世界大戦は、スキーの発展に貢献した。特別スキー部隊の訓練や動員によって、スキーの技術が広まったからである。1924年、スウェーデンのストックホルムを本部として国際スキー連盟(FIS)が結成され、ノルディック・スキーはその年の第1回オリンピック冬季大会に採用された。

2. 競技会

じゅうぶんな観覧設備もない遠隔地でおこなわれるスキー競技も、テレビのおかげで、今日ではかなり多くの支持をえるようになった。1936年の冬季オリンピックにアルペン・スキーがくわえられるまでは、ノルディック・スキーが国際競技を支配していた。ワールドカップ大会(アルペン)がはじまったのは67年のことである。70~80年代にはクロスカントリー、ジャンプ、ノルディック複合、フリースタイル・スキーをふくむワールドカップが各地を転戦しておこなわれるようになった。オリンピック冬季大会のアルペン種目には、滑降、回転、大回転、スーパー大回転、回転と滑降をあわせた複合競技がある。フリースタイル種目にはエアリアル、モーグル競技、そしてノルディック種目としてはジャンプ(男子のみ)、ノルディック複合(男子のみ)、クロスカントリーがある。クロスカントリーには、男女とも個人種目とリレー種目がふくまれている。

3. 日本のスキー

日本へは1900年代の初期に札幌で学生向けに移入され、また新潟県高田(上越市)では、オーストリアの軍人、レルヒ少佐によって、軍隊教練としてもちこまれた。高田では、その後一般市民もまじって講習会が開かれ、スキーはレジャー、競技両面で急速に日本人に浸透していった。23年(大正12)には小樽で第1回全日本選手権が開かれ、28年(昭和3)には冬季オリンピックに初参加している。

日本選手で最初に活躍したのは1956年コルティナダンペッツォ・オリンピック回転2位の猪谷千春だが、日本は伝統的にアルペンよりジャンプのほうが得意。ジャンプは72年札幌オリンピック70m級で笠谷幸生が優勝、金銀銅を日本選手が独占するにおよんで日本の得意種目となった。80年の大会では八木弘和が銀、94年(平成6)の大会では団体で銀をとっている。最近では、このジャンプとクロスカントリーをくみあわせた複合競技に強さを発揮、荻原健司、河野孝典らの活躍で、92、94年のオリンピックで団体に2連勝した。98年の長野オリンピックでは、船木和喜がラージヒルで金メダルをとり、団体でも優勝するなどジャンプ陣が活躍。また、フリースタイルのモーグルでは里谷多英が98、2002年の2大会連続でメダルを獲得して、日本のスキー界に新風をふきこんだ。またレジャーとしてのスキーでは、ゲレンデ・スキーも依然として盛んだが、最近はクロスカントリー・スキーやスノーボードにも人気がある。