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| II. | 地図や海図の図法 |
航海の計画と最終的な結果は、地図や海図に記入される(→ 地図)。地図には、ほぼ球面になった地球の表面が、緯度と経度の座標と、地表や海面下の地形の特徴を重ねあわせた形であらわされている。海図は、位置、方位および距離の測定値と、航行者に必要な情報をしめしたものである。地球の球面を歪(ひず)みなく平面に表現できないため、航行者の用途にあわせた図法が開発された。それぞれの図法には長所と短所があり、航行者の必要をみたすように考えられている。
地図でもっとも広く利用されているのは、メルカトル図法である。この名は、発明者の数学者・地理学者のG.メルカトルにちなんでつけられた。この地図は、地球の球面を、赤道で地球表面に外接する円筒上に投影し、平面にしたものである。北を上にして円筒を平らにしたとき、子午線すなわち経線は、縦方向の等間隔の線としてあらわされ、緯線は横方向の平行な線としてあらわされる。子午線に対する方位のずれを少なくするように、平行な緯線が、緯度が高くなるにつれて間隔が大きくなるように作図されている。メルカトル図法は、歪みは大きいが、経路、方位、および距離が直線であらわされ、直接測定することができる。
航行者はふつう、2地点間の最短経路をみつけようとする。これは、大圏として知られるコースになる。地球表面の2地点間の大圏は、2地点と中心をふくむ平面が球面と交差するときの弧で、球面上の最短距離である。大圏コースは、心射図から直接もとめることができるが、コースをかえながら航行する船には適用できないため、ふつうは大圏に近いいくつかの弦をつなぐ。これらの弦は、一般にメルカトル式地図に記入される。
世界の航行できる水域の大部分は、主要海洋国家の水路測量当局によって正確に調査され、航行者は、高い信頼性の海図をつかうことができる。
さまざまな国の水路測量当局が、航行者を支援する航海暦や沿岸水路誌を発行している。沿岸水路誌は、沿岸水域、港の設備、航路標識、風、潮汐、潮流、航海危険箇所、制限水域への接近と進入の指示、および海図に表現できない詳細な情報をふくむ本である。