| 中央アメリカ | 項目ビュー | ||||
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| II. | 自然と資源 |
厳密に地理学的な観点からみると、中央アメリカは、メキシコ南部のテワンテペック地峡にはじまり、パナマ地峡をへて南アメリカ大陸のコロンビア北西部をながれるアトラト川流域までをいう。
この地域はカリブプレートの西端に位置し、地殻はきわめて不安定である(→ プレートテクトニクス)。およそ2500万年前の中新世に、カリブプレートの下に太平洋プレートがしずみこみはじめ、土地が海面上に隆起した。初期の段階で1つの半島と島々が形成され、今から300万年前、散在する島々がつながって一続きの陸橋となり、南北両アメリカ大陸をむすぶ地峡となった。
火山が多く、現在、少なくとも14の活火山がある。地殻の隆起と沈降に連動して火山が噴火し、地震も頻発する。20世紀だけをみても、たとえばニカラグアの首都マナグアは2度にわたって地震の大被害をうけ、最近では1972年にマグニチュード6.3の直下型地震で1万人以上が死亡した。76年にはグアテマラのモタグア低地を震源とするマグニチュード7.5の地震により、2万2870人の死者が出た。この地震では、グアテマラ国民のおよそ4人に1人が家をうしなっている。
火山の噴火によってできた円錐形(えんすいけい)の山があちこちにあり、中央部の陥没した火口にはうつくしいカルデラ湖がみられる。
| 1. | 地形 |
ユカタン半島の付け根からホンジュラス北部、さらにニカラグア北部にかけての山脈と、コスタリカ南部からパナマ地峡にかけての太平洋岸につらなる山脈の2つの山系があり、中央アメリカは全域にわたって起伏にとんだ地形をもつ。大きな火山は109あり、なかには標高4000mをこえるものもある。最高峰はグアテマラのタフムルコ山で、標高は4220m。西半球でもとくに火山活動の活発な地域である。
山脈を横切るように両大洋岸をむすぶ経路が2カ所ある。ひとつはニカラグア低地(サンフアン川河口からニカラグア湖までの一帯)で、もうひとつはパナマ運河地帯である。カリブ海沿岸は平野となっているが、熱帯雨林におおわれている。太平洋岸の海岸線の長さは約2830km、カリブ海側は約2740kmである。カリブ海側の沖合には、小さな島々がいくつかの群島を形成し、ホンジュラス領バイア諸島などの居住島もある。
| 2. | 河川と湖沼 |
カリブ海にそそぐ川は中央アメリカでは長めのものが多く、太平洋側にくだる川は小さい。代表的な河川としては、グアテマラのモタグア川、ホンジュラスのウルア川、アグアン川、パトゥカ川、ホンジュラスとニカラグアの国境をながれるココ川、ニカラグアのグランデ川、エスコンディド川、ニカラグアとコスタリカの国境をながれるサンフアン川などがあげられる。カリブ海にそそぐ河川の中には小型船舶の水路として利用されている川もある。
湖としては、ニカラグアのニカラグア湖とマナグア湖、パナマのガトゥン湖があげられる。ガトゥン湖は、カリブ海と太平洋をむすぶ交易水路として重要なパナマ運河の一部を構成する。
| 3. | 気候 |
北回帰線と赤道にはさまれる中央アメリカは、緯度の変化よりもむしろ標高の高低によって気候が変化する。大きく3つの気候にわけられる。標高900mくらいまではティエラカリエンテ(暑い土地)とよばれ、年平均気温は24°C以上である。さらにこれから約1800mまでの間をティエラテンプラダ(温暖な土地)といい、年平均気温は18~24°C程度である。これより高い標高3000m強まではティエラフリア(寒い土地)で、平均気温は13~18°Cである。人口はティエラテンプラダに属する高原地帯や山間部盆地に集中している。
カリブ海沿岸地方と山脈の東側斜面では、太平洋沿岸地方や山脈の西側とくらべ、年降水量が2倍も多い。太平洋岸は、寒流のカリフォルニア海流によって生じる安定した冷気の影響で比較的年降水量が少なく、1000~2000mmである。カリブ海の温暖な海水は大気中に大量の水分を放出し、これが北東風によって陸上にはこばれていく。この水分を多くふくんだ空気が山脈の斜面にそって上昇し、その過程で濃縮されて大量の降水をもたらす。とくにニカラグア東端のモスキトス海岸は降水量が多く、サンフアンデルノルテでは6350mmをこえる年降水量を記録している。カリブ海に面するベリーズやホンジュラスでは、ハリケーンにみまわれることも多い。
| 4. | 植生 |
中央アメリカは、かつて隔絶していた南北両アメリカ大陸という2つの生態系を橋渡しする役割をはたしている。カリブ海沿岸の標高約1000m以下の一帯には、高温多湿な気候を反映して、南アメリカ大陸にみられるような熱帯雨林が広がり、ヤシ、シュロ、シダ、蔓植物、着生植物などがめだつ。太平洋沿岸の低地にも熱帯性の森林が広がる。
標高1000~1600mの高原地帯には、マツやカシの樹林など北アメリカ大陸と類似した温帯性の植生がみられる。グアテマラの高地部には、メキシコやアメリカ合衆国に似たサバナが広がる。コスタリカの3100m以上の地域には、南アメリカ大陸のアンデス山脈の樹木限界より上でみられるような背丈の高い高山植物がみられる。
| 5. | 動物 |
中央アメリカの動物相はおおむね南アメリカ大陸のそれと同じであるが、北アメリカ大陸との関連性もみいだせる。マーリーやオポッサムなどは南アメリカ大陸と同系のものが生息し、ネコ科のジャガー、オセロット、ジャガランディ(ヤマネコの一種)、マーゲーなども同様である。一方、ピューマ、ハイイロギツネ、コヨーテなどは北アメリカ大陸が原産である。このほか南アメリカ大陸と共通する動物としては、アルマジロ、アリクイ、ナマケモノなど、また北アメリカ大陸と共通する動物としてはシカがあげられる。
東岸内陸部の潟には、大型の草食性海獣マナティーが生息する。大型のアオウミガメやイグアナも生息している。ボア、ブッシュマスター(大型の毒ヘビ)といったヘビも無数にみられるほか、インコ、ケツァール、オオハシなどの鳥類も多い。魚介類も多く、とくにニカラグア湖には淡水ザメがみられる。
| 6. | 天然資源 |
ホンジュラスおよび高地ニカラグアに発見された金銀をはじめとするさまざまな鉱物資源が、はやくからスペイン人入植者の関心をあつめた。ホンジュラスには鉛、亜鉛、銅、低品位鉄鉱石が大量に埋蔵され、ニカラグアの太平洋岸沖には天然ガスが相当量あることが確認されている。グアテマラのイサバル湖付近には大量のニッケルがあり、またチナハの近くには石油が埋蔵されている。パナマはセロコロラドに大量の銅を埋蔵している。