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| III. | 自由の実現と民主主義 |
だが、戦後の正義としての解放、そしてその実現としての民主主義は、戦後民主主義の旗手アメリカでより深化する機縁をつくりだした。黒人公民権運動である。その指導者キング牧師は、インド独立の指導者マハトマ・ガンディーの精神を継承して非暴力直接行動に徹した。この運動は人間の尊厳を自覚し、これを実現するための精神の変革を追求するものだったが、そのためには平等であることが必要であり、平等の獲得には自由がかちとられなければならなかった。いわば自由と平等はセットになった民主主義の価値ではなく、自由が平等に優先するという点に解放の問題が明らかになったのである。
その認識はベトナム反戦、そして若者の反乱の1960年代により鮮烈になる。「民主社会をめざす学生組織」は、「ポート・ヒューロン宣言」において、参加民主主義の確立を主張している。それは国益の名によって、すべての国家活動が容認される政治体制に対する抵抗であり、多数決原理による間接代表民主主義への異議申し立てである。この実現は夢ではない。たとえばベネルクス諸国にあっては、多極共存型民主主義として、多数決主義でない合意形成方式が現実に存在している点に民主主義の多様性が確認されるのである。
民主主義は主権国家の中にとりこまれていた。中東欧社会主義諸国での民主化の問題は、国家から社会をはぎとり、社会を民主化する意味をおしえた。同時に、環境、資源などの問題は、全地球規模で民主主義を考えることを人類に要請している。
→ 直接民主主義