燃料電池
印刷するには、[ファイル] メニューの [印刷] をクリックします。
燃料電池
III. 燃料電池の種類

燃料電池は、化学反応に利用される電解質の種類によって分類される。その電解質としては、リン酸、溶融炭酸塩、安定化ジルコニア、高分子電解質膜などがつかわれ、電極としては、白金触媒をつかった多孔質カーボン、多孔質ニッケルなどがつかわれる。ジェミニ宇宙船(ジェミニ計画)に使用された固体高分子型やアポロ宇宙船でつかわれたアルカリ型など比較的小型のものからはじまり、より大型のリン酸型(第一世代)、溶融炭酸塩型(第二世代)、固体電解質型(第三世代)と研究、開発がすすめられている。

1. 固体高分子型燃料電池とアルカリ型燃料電池

もっとも歴史が古いイオン交換膜を電解質に利用した固体高分子型燃料電池は、1965年にアメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)で1kW型のものが開発され、ジェミニ宇宙船の電源に使用された。当初は軍による利用が中心だったが、小型、軽量のうえ騒音もでないことから、現在では一般住宅での利用も研究されている。アポロ宇宙船では、水酸化カリウムを電解質としたアルカリ型燃料電池が使用されたが、この電池は、電池としての利用のほかに、発生する水蒸気を利用した水の製造装置としても利用された。現在でも原子力潜水艦やスペースシャトルなどで利用されている。この2つは、他の燃料電池とはちがい、発電時の動作温度は100°C以下と低く、長い実績から信頼性も高い。

2. リン酸型燃料電池

電解質にリン酸H3PO4を使用するもので、技術的にはほぼ確立している。燃料に都市ガス(天然ガス)をつかったオフィスビルや集合住宅での利用が多く、180~210°Cの動作温度で発生する熱や水蒸気は、暖房や給湯などにつかわれている。しかし、都市ガス中には水素以外の成分もふくまれているため、それらを除去する必要がある。さらに改質器とよばれる装置で高純度の水素にかえる必要があり、システムが複雑になる欠点がある。

3. 溶融炭酸塩型燃料電池

溶融炭酸塩型燃料電池は、溶融した炭酸塩などを電解質液に使用するもので、現在、開発がすすめられている。炭酸塩は常温では固体だが、650~800°Cの温度では液体となり、炭酸イオンの移動が可能になる。高温で発電をおこなうこの燃料電池は、一酸化炭素による発電が可能で、石炭ガスから生成するような、一酸化炭素と水素の混合物を、燃料として使用できる利点がある。また、高温で発生する水蒸気と排熱をつかいタービン発電機を駆動することができ、総合的な発電効率は高い。ただし、システム全体が大型化するため、一般住宅よりも事業用発電装置としての利用が有望視されている。

4. 固体電解質型燃料電池

ジルコニア(ジルコニウム(IV) ZrO2)の固体を電解質に使用する、固体電解質型燃料電池も開発中である。ジルコニアは、約1000°Cで酸化物イオンの導体となるので、水素、一酸化炭素、メタンを燃料とすることが可能になる。とくにメタンは高価な白金以外の陽極とも反応するので、発電コストをさげることができる。硫黄(いおう)や窒素化合物などの不純物が燃料に混入した場合、通常の燃料電池では性能が低下するが、固体電解質燃料電池には、それらの不純物の影響をうけにくいという長所もある。また、高温で発生する水蒸気と排熱をつかいタービン発電機を駆動することができ、総合的な発電効率は高くなる。

高温で発電をおこなう溶融炭酸塩型燃料電池および固体電解質型燃料電池は、陽極反応で生成する水が蒸気となって自然に蒸発する。低温の燃料電池では、生成する水を除去する方法が必要である。