| 検索ビュー | 有袋類 | 項目ビュー |
| I. | プロローグ |
ほとんどのものが、子をうむと腹部の育児嚢(いくじのう)の中でそだてる哺乳類(ほにゅうるい)のグループの総称。有袋類の名はこれに由来し、胎盤でそだてる真獣類より原始的とされる。有袋類と真獣類は、ともにジュラ紀の汎獣類(はんじゅうるい:三畳紀に出現した原獣類の仲間)からわかれたと考えられている。白亜紀末期に現在の北アメリカ大陸に出現した有袋類と、ほぼ同時期のヨーロッパに出現した真獣類は、それぞれ別の進化をたどった。だが、両者が出あった地域では競争がおき、真獣類におわれた有袋類はアフリカや南アメリカ大陸で進化をとげた。そして、始新世ごろ、まだ陸続きであった南極大陸をとおり、有袋類はオーストラリアに到達した。やがて、オーストラリアがほかの大陸から孤立し、競争相手となる真獣類もいなかったことで、有袋類は大いに発達、さまざまな環境に適応した多様な種が出現することとなった。だが、南アメリカ大陸にのこった有袋類の多くは、鮮新世に出現したパナマ陸橋をとおって進出してきた真獣類によりほぼ壊滅状態となった。→哺乳類の「哺乳類の進化史」
| II. | 多様な種 |
オポッサム類と南アメリカ大陸のケノレステス類をのぞいて、あとはすべてオーストラリアとタスマニア、ニューギニアの固有種である。およそ4500種が知られる哺乳類の中で、有袋類は270種ほどと、けっして多くの種類がいるわけではない。しかし、適応放散の結果、じつに多様な種が生息している。一方で、ヨーロッパからの入植者がもちこんだ真獣類との競争にやぶれたり、フクロオオカミのように狩りたてられた結果、絶滅した種も多い。
有袋類の大きさは、トガリネズミ大のフクロミツスイ(→ ポッサム)から人間の成人大のアカカンガルーまで多岐にわたる。小型の有袋類には、スミントプシス類、タスマニアデビル、樹上生のクスクス類、ワラビー類(→ カンガルー)、バンディクート、昼行性のフクロアリクイなどがふくまれる。大型の有袋類にはカンガルー、コアラ、ウォンバットがある。
食性なども多様で、フクロアリクイのような食虫性のもの、オオフクロネコのように肉食性のもの、コアラのように草食性のものがいる。フクロモグラやウォンバットのように地中にくらすもの、フクロモモンガやフクロムササビのように飛膜で滑空をするものまでいる。
| III. | 有袋類の特徴 |
有袋類のメスには膣(ちつ)が2つある。この2つの膣の開口部は1つになっているが、くっついてはいない。単孔類をのぞくほかの哺乳類にみられる胎盤は発達していない。産道は、膣の開口部から、2つの膣の間の結合組織の中をとおっている。子は受胎して2~5週後、きわめて未熟な状態で生まれる。育児嚢をもつ種では、生まれるとすぐ母親の腹部の育児嚢に入る。育児嚢をもたない種では、乳首にすいついて体をささえるだけであるが、乳首は子がおちないよう、口にふくませた後ふくらむ。育児嚢のあるなしにかかわらず、自分で食べ物をとることができるまで、子はずっと乳首にすいついたままである。オスのペニスはふたまたにわかれており、睾丸(こうがん)はふつうペニスの前部にある。
分類:哺乳綱フクロネズミ目(有袋目)。