石油
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石油
III. 原油の産状、組成と性状

地下から採取されたままの原油は、一般に黒褐色または黒緑色の粘り気のある油状物質で、多少の泥水や塩分をふくんでいる。原油の主成分は、炭素原子数5~40程度の複雑な各種炭化水素化合物だが、ガス状炭化水素(湿性天然ガス)もとけこんでいる。世界じゅうに分布する原油にふくまれる元素は、炭素79~88%、水素10~14%、硫黄0~4%、酸素0~3%、窒素0~1%、金属0.5%以下となっている。

1. 原油のタイプ

石油の炭化水素を分子構造のタイプによって大別すると、パラフィン系(アルカン)、アセチレン系(アルキン)、オレフィン系(アルケン)、ナフテン系、芳香族系(芳香族化合物)の5種類に分類される。このうち原油の炭化水素として多いのはパラフィン系とナフテン系で、芳香族系は比較的少ない。オレフィン系炭化水素は石油が熱分解すると容易に生成するが、原油中にはほとんどふくまれていない。アセチレン系炭化水素は、以上4種類の炭化水素にくらべて重要度は低いと考えてよい。原油とともに産出する天然ガスの炭化水素は、メタン、エタン、プロパン、イソブタン(ブタン)、ノルマルブタン、ペンタンが主である。

1.A. パラフィン系炭化水素

パラフィン系炭化水素は、鎖状の飽和炭化水素で、同じ沸点の他の炭化水素にくらべて、比重(密度)、粘度(粘性)、温度による粘度変化が小さく安定している。このパラフィン系炭化水素を主成分とするパラフィン基原油からは、オクタン価が低く、あまり良質でないガソリンしかできないが、ガソリンのえられる率は高い(→ガソリンの「オクタン価」)。しかしパラフィン基原油は、良質の潤滑油の原料となり、灯油、軽油、重油はもえやすいものができる。また沸点の高いものは、結晶してパラフィン(石蝋(せきろう))をつくる。

1.B. ナフテン系炭化水素

ナフテン系炭化水素は、環状にむすびついた飽和炭化水素で、常温では安定しているが、高温になると触媒の働きで芳香族系炭化水素にかわりやすい性質がある。このナフテン系炭化水素を主成分とするナフテン基原油から、ガソリンをえられる率は低いが、改質して高オクタン価ガソリンをつくったり、石油化学製品の原料となる芳香族系炭化水素をつくることができる。また粘度が低いので潤滑油原料にはむかないが、アスファルト分を多くふくんでいるためアスファルト基原油ともいわれ、残油はアスファルトの原料となる。

1.C. オレフィン系炭化水素

オレフィン系炭化水素は、鎖状の不飽和炭化水素である。天然原油には微量しかふくまれないが、分解油などには比較的多くふくまれ、分解ガソリンはオクタン価が高く、オレフィン系のエチレンやプロピレンなどは反応しやすいので、石油化学製品の重要な原料となる。また芳香族系炭化水素は、環状の不飽和炭化水素であるため化学的に反応しやすい性質をもち、なかでもベンゼン、トルエン、キシレンはよく知られている。比重はもっとも大きく、改質ガソリン、特殊溶剤などに多くふくまれ、オクタン価が高いことや反応しやすいことから、高級ガソリン、石油化学原料などに多くつかわれる。

以上のほか、硫黄分の多少によって原油を分類する仕方もあり、硫黄分の多い原油をサワー原油、硫黄分の少ない原油をスイート原油という。日本の主要な輸入原油のうち、中東系原油は一般にパラフィン基でサワー原油が多く、インドネシア系原油は中間基でスイート原油が多い。