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| III. | 5界分類 |
アリストテレスが前4世紀にはじめて分類学を確立して以来、生物を植物界と動物界の2つの界に区分するという考えが、うけいれられてきた。生活様式や進化の過程を比較すれば、根をおろし移動しない植物と、移動して食べ物をあさる動物とは、明らかに区別することができる。このため、2つの界という概念が、手をくわえられることなく、近年まで生きのこってきた。単細胞生物がどちらのカテゴリーにもうまく適合しないことが明らかになって、単細胞生物は3番目の界である原生生物界に位置づけられると提唱されたのは、ようやく19世紀になってからだった。だが、植物が基本的に光合成により栄養物を生産することが発見されてからも、吸収により栄養分をとる菌類は、根をおろして成長するという外見上の理由で、ずっと植物の仲間に分類されたままだった。
細胞を研究する技術が飛躍的に発達するにつれて、生物界は動物と植物というカテゴリーによってではなく、その生物の細胞が核膜につつまれた核をもつか、もたないかによって、大きく分類できることがわかった。核膜のある生物を真核生物、核膜のない生物を原核生物とよぶ。原核細胞は、ミトコンドリア、葉緑体、進化した鞭毛などの特異化した細胞構造、つまり細胞小器官をもたない。真核細胞はすべて、少なくともある程度の細胞小器官をそなえている(→ 細胞)。バクテリアと藍藻植物(シアノバクテリア)は原核生物であり、近代分類学における4番目の界、モネラ界に分類される。菌類は5番目の菌界を形成する。
真核細胞は原核細胞より、かなりおくれてあらわれ、原核生物と共生しながら進化したと思われる。原生生物界は、多様な単細胞生物からなる。これらの生物は、自由生活をするか、あるいは群体を形成して生活する。多細胞生物で構成される界は、それぞれが、一度ならず、原生生物である祖先から誕生したと考えられている。動物界を構成する生物は、多細胞で、細胞からさまざまな組織を形成し、収縮性のある組織を利用して程度の差こそあれ移動し、体内で食物を消化する。植物界に分類される多細胞生物は、ふつう細胞壁をもち、みずから必要とする栄養物を光合成によって生産するための葉緑体をそなえている。5番目の界である菌界は、多細胞、あるいは多核体の生物からなる。栄養物を外部で消化し、菌糸とよばれる原形質の管の表面から、これを吸収する。菌糸は菌類の本体を構成する。
生物界全体の5界分類は、体制にもとづく3つの基準にしたがって設定されている。すなわち原始的な体制の原核生物、どちらかというと単純な体制で大部分が単細胞の真核生物、複雑な体制をした多細胞の真核生物、の3つが基準になっている。多細胞の真核生物については、3つの主要な進化の方向は、それぞれがさまざまな栄養の摂取法によって決定され、動物、植物、菌類に特徴的な多様な組織の構造を説明する。
→ 植物学:モネラ:原生生物:動物学:藻類:動物:細菌:植物:分岐分類学:分子系統学:3ドメイン説