| バイオリン | 項目ビュー | ||||
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| III. | 歴史 |
バイオリンは1500年代初頭にイタリアに出現した。中世の2種類の弓奏弦楽器、すなわちフィドル(ビエール、フィーデル)とレベック、そしてさらにルネサンスのリラ・ダ・ブラッチョ(バイオリンのような楽器で、指板に接触しないドローン弦をもつ)から発達したと考えられている。バイオリンより先にヨーロッパに出現し、バイオリンと200年ほど共存した6弦でフレットつきのビオラ・ダ・ガンバは、バイオリンと関係をもつものの、直接の先祖ではない。
最初期の重要なバイオリン製作者は、ガスパーロ・ダ・サロ(1540~1609)、ブレシアのマッジーニ(1579~1630ごろ)、クレモナのアンドレア・アマーティら北イタリアの人である。バイオリン製作の技術が頂点に到達したのは17~18世紀初頭であった。イタリアのクレモナにおけるアントニオ・ストラディバリとジュゼッペ・グアルネリの工房、オーストリアのヤーコプ・シュタイナーが最高峰に位置づけられる。
初期のバイオリンでは、ネックが現代のものとくらべて太く短く、本体に対する反りは小さい。また指板は短く、ブリッジの角度はゆるやかである。弦はガットだけでつくられた。弓のデザインも現代のものとはいくぶんちがう。張りのある、かがやかしく大きな音が出せるように、弓の細部は18~19世紀にすっかり改変された。20世紀の奏者の中には、18世紀の音楽にふさわしいという信念から、当時の仕様の楽器をつかう人も多い。
当初、バイオリンは社会的に低層の人々の楽器と考えられ、ダンスの伴奏や声楽のパートを重複するためにつかわれた。しかし1600年代初めに、イタリアの作曲家モンテベルディの「オルフェオ」(1607)などのオペラや、フランス国王ルイ13世の「王の24人の弦楽隊(1626結成)」のおかげで、高く評価されるようになった。
バロックの時代(1600~1750ごろ)に、イタリアのコレリ、ビバルディ、タルティーニ、ドイツのビーバー、テレマン、ヨハン・セバスティアン・バッハをはじめとする高名な作曲家・演奏家が輩出して、評価はますます高まった。独奏コンチェルト、コンチェルト・グロッソ、ソナタ、トリオ・ソナタ、組曲など、当時流行した器楽曲ではバイオリンが中心的な存在となっており、またオペラでも使用された。
18世紀中ごろには、ヨーロッパ音楽のもっとも人気のある独奏楽器にかぞえられるまでになった。バロックおよび古典派時代(1750~1820ごろ)のもっとも重要な合奏形態はオーケストラであったが、ここでもバイオリンは中心的存在となった。オーケストラは今日でも西洋音楽の重要な合奏形態であり、その奏者の半数以上はバイオリン属の楽器を担当している。室内楽でもバイオリンはしばしば重要な役目をはたしており、もっとも一般的な弦楽四重奏の場合は、バイオリン2、ビオラ、チェロで編成される。
19世紀には伝説的なバイオリンの巨匠が誕生し、ヨーロッパじゅうで演奏活動をおこなった。イタリアのビオッティ、パガニーニ、ドイツのシュポーア、ヨアヒム、スペインのサラサーテ、ベルギーのビュータン、イザイエらである。
20世紀にはアメリカのアイザック・スターン、メニューイン、オーストリア生まれでアメリカの市民権をとったクライスラー、ロシア生まれでアメリカの市民権をとったハイフェッツ、ミシャ・エルマン、ネーサン・ミルスタイン、ハンガリーのシゲティ、ソビエトのオイストラフらの手で、芸術的・技術的な高みに到達した。
バイオリンのための独奏曲・協奏曲・室内楽曲をのこした作曲家として、バロック・古典派時代のバッハ、モーツァルト、ベートーベン、ロマン派時代にはオーストリアのシューベルト、ドイツのブラームス、メンデルスゾーン、シューマン、ロシアのチャイコフスキー、そして20世紀にはフランスのドビュッシー、オーストリアのシェーンベルク、ハンガリーのバルトーク、ロシア生まれのストラビンスキーらがあげられる。