鉱物学
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鉱物学
II. 鉱物化学

鉱物種を決定し、他と識別するのにもっとも重要な性質のひとつはその化学組成である。鉱物化学では、その化学組成をしらべ、鉱物を分析する。鉱物の分析は、定性的(定性分析)あるいは定量的(定量分析)な化学分析の手法によっておこなわれる。鉱物はその化学組成と結晶の対称性によって分類される。鉱物の化学組成は、電子線マイクロアナライザ(EPMA:Electron Probe Micro Analysis)によってもしらべられ、その精度は向上し、微小な結晶でも化学分析が可能になってきた。

化学的な分類は統一されているわけではないが、以下のような化合物の分類が一般的である。

(1)元素鉱物:金、石墨(黒鉛)、ダイヤモンド、硫黄などのように、単一の元素でできているもの。

(2)硫化鉱物(セレン化鉱物、テルル化鉱物、ヒ素化鉱物、アンチモン化鉱物、ビスマス化鉱物もふくむ):硫黄(またはセレン、テルル、ヒ素、アンチモン、ビスマス)と化合した金属によってできている鉱物で、方鉛鉱や閃亜鉛鉱などの重要な鉱床鉱物がここにふくまれる。鉛、銀、銅などの硫化物や、銀の重要な鉱石鉱物である濃紅銀鉱Ag3SbS3などもここにふくまれる。

(3)酸化鉱物および水酸化鉱物:酸素もしくはヒドロキシル基(水酸基:-OH)と化合した金属によってできている鉱物。赤鉄鉱のような金属と酸素の化合物や、ボーキサイトの成分であるダイアスポアAlO(OH)、細菌の作用により酸化された褐鉄鉱である沼鉄鉱(しょうてっこう)FeO(OH)のようにヒドロキシル基をもつものもここにはいる。

(4)ハロゲン化鉱物:金属と塩素やフッ素、臭素、ヨウ素が化合したもの。岩塩はこうした鉱物のうちでもっとも有名なものである。

(5)炭酸塩鉱物:炭酸イオン(CO32-)をもつグループで、方解石CaCo3、苦灰石(ドロマイト)CaMg(CO3)2、霰石CaCo3などはここにふくまれる。

(6)ホウ酸塩鉱物:オルトホウ酸イオン(BO33-)をもつグループで、コトウ石(小藤石)Mg3(BO3)2、ホウ砂(硼砂)Na2B4O7・10H2Oなどはここにふくまれる。

(7)硫酸塩鉱物:硫酸イオン(SO42-)をもつグループで、クロム酸塩鉱物、タングステン酸塩鉱物、モリブデン酸塩鉱物、ウラン酸塩鉱物などもふくむ。石膏、硫酸カルシウム(硬石膏)CaSO4、ミョウバン石(明礬石)Kal3(OH)6(SO4)2、タンバン(胆礬)CuSO4・5H2O、硫酸鉄(II)(緑礬)FeSO4・7H2O、硫酸バリウムの鉱石鉱物である重晶石BaSO4などはここにふくまれる。

(8)リン酸塩(燐酸塩)鉱物:リン酸イオン(PO43-)をもつグループで、バナジン酸塩鉱物、ヒ酸塩鉱物などもふくむ。燐灰石Ca5(PO4)3F、イットリウムをふくむゼノタイム、ネオジムをふくむモナズ石、緑鉛鉱Pb5(PO4)3Clなどがここにふくまれる。

(9)ケイ酸塩鉱物:ケイ酸イオン((SiO4)4-)をもつグループで、もっとも大きな区分である。いろいろな元素がケイ素と酸素と化合し、複雑な化学構造をつくる。ケイ酸塩鉱物は、SiO4四面体(ケイ素酸素四面体)の結合の形式により、ネソケイ酸塩鉱物、ソロケイ酸塩鉱物、サイクロケイ酸塩鉱物、イノケイ酸塩鉱物、フィロケイ酸塩鉱物、テクトケイ酸塩鉱物に細分される。長石や雲母、輝石、石英、沸石、角閃石族など、代表的な造岩鉱物がここにふくまれる。

(5)から(9)は、まとめて酸素酸塩鉱物とよばれることもある。