タイワン(台湾)
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タイワン(台湾)
IV. 経済

台湾は肥沃な土地と温暖な気候にめぐまれ、農業に適した条件をそなえていた。大陸から多くの移住民が海をわたってきたのも、その豊かな土地のためだった。清の統治時代と日本の植民地時代に、台湾はその高い農業生産性を基盤に経済的地位を確立していった。

1945年以後は、農業社会から工業社会へと移行し、とくに60年以降の急速な工業化で新興工業国・地域の仲間入りをはたした。大陸から台湾へうつってきた中国国民党政権は政治的安定をはかるとともに、強力に経済開発を推進していった。輸出指向産業を中心とする工業化政策がとられ、73年には国家プロジェクト10項目建設で、重工業が計画的に開発されていった。

とくにインフラストラクチャーの整備、鉄鋼・造船・石油化学の育成が重要課題とされ、その結果、今日「奇跡」といわれる経済発展をもたらした。2006年のGDP(国内総生産)は3655億米ドル(名目)、実質GDP成長率は4.89%であった。

2002年1月にWTO(世界貿易機関)加盟が実現し、世界の自由貿易体制と一体化することになった。その結果、途上国および途上地域特例の援用はできなくなり、貿易関連制度の改善、関税の引き下げ、サービス貿易の自由化などに、いっそうの努力が必要となった。

1. 農業

農業は西海岸の肥沃な平野部で盛んである。土地の23.5%は穀物栽培に適する。収穫量では米とサトウキビが多く、ほかにトウモロコシ、サツマイモ、アスパラガス、シイタケ類、ダイズ、ラッカセイ、チャ、バナナ、パイナップル、マンゴー、レイシ、柑橘類(かんきつるい)など多くの農産物が生産されており、最近では日本への輸出もふえている。

家畜は、豚、牛・スイギュウ(かつては農耕用)、ヒツジ・ヤギ、ニワトリ、カモが商業用に飼養されている。

2. 林業・漁業・鉱業

面積の約60%が森林におおわれているものの、木材生産はあまり盛んではない。おもにカシ、ヒマラヤスギ、アメリカツガ、タケ、トウなどが産出されるが、需要の大部分は輸入材に依存している。一方漁業は、沖合漁業と遠洋漁業が全漁獲高の80%を占め、残りが沿岸漁業と養殖業である。サバとマグロの漁獲量が多い。

北部のキールン(基隆)やチンコワシー(金瓜石)など、かつて炭鉱や金鉱、銀山で知られた所もあるが、現在、台湾鉱業はさほど盛んでない。大理石、硫黄、原油、天然ガス、岩塩、苦灰石などを産出する。

3. 工業とエネルギー

主要工業生産品はセメント、石油、ラジオ、テレビ、電気計算器、コンピューターシステム機器、鉄鋼金属など。とくに半導体、液晶パネル(液晶ディスプレー)といった電気・電子部品、電気製品、精密機械の製造で世界的に評価が高い。また、化学工業、石油化学工業、繊維業、プラスチック製造業、食品工業、造船業なども盛んである。

2003年推計の年間発電量は1659億5900万kWh、その約20%を原子力発電所がまかなっている。

4. 銀行と貿易

通貨単位は台湾元(新台湾ドルともいう)。通貨の発行は中国中央銀行がおこなっている。金融業は活発で多くの外国銀行が支店をおいている。1980年代後半から株式の自由化と高騰を背景に、株式市場も活発化した。2001年以降は不況で株価は低迷したが、06年以降、回復基調にある。

台湾経済に占める貿易の比重は高い。2003年の輸出は1506億12万米ドル、輸入は1272億4257万米ドル。おもな輸出品は電気・電子製品、繊維製品、プラスチック製品、玩具類(がんぐるい)、加工食品など、輸入品は原油などの鉱産物、木材、鉄鋼、機械類、電気・電子部品、食料品となっている。主要貿易相手国・地域は中国、日本、ホンコン(香港)、アメリカ合衆国、韓国、シンガポール、ドイツ、サウジアラビア、マレーシアなどである。

5. 交通と通信

交通網の整備もすすみ、陸運ではとくに道路網が充実している。東海岸の蘇花公路(そかこうろ)、西海岸の中山高速公路、島を横断する東西横貫公路や南部横貫公路など幹線道路が整備され、総延長距離は約2万kmに達する。鉄道は基隆を起点とする東部幹線や台北を起点とする西部幹線などで島の海岸線を一周する。全長は約4800km、おもに物資輸送に利用されている。バス路線も発達している。2007年1月に開業した台湾高速鉄道(台湾新幹線)は台北と高雄を最高時速300km、1時間30分ほどでむすぶ。日本の新幹線車両がつかわれ、ハイテク工業団地の遠地への拡張や通勤圏拡大など、さまざまな経済効果が期待されている。

港湾としては基隆、ホワリエン(花蓮)、高雄、台中などがあり、なかでも高雄は国際貿易港として台湾で最大規模をほこる。国際空港には台北の台湾桃園(タオユワン)国際空港(旧称、中正国際空港)と高雄国際空港がある。台湾最大の航空会社である中華航空は国内線と国際線に就航。エバー(長栄)航空も国際線に就航している。

携帯電話の普及率は世界トップクラスである。また日刊紙は約30紙、主要新聞には台北で発行されている「中国時報」「聯合報(れんごうほう)」「自由時報」、高雄で発行されている「台湾新聞報」、台中で発行されている「台湾日報」がある。