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| III. | 発射薬・推進薬 |
火器の弾丸の発射やロケットの推進には、一般に無煙火薬とよばれるものが使用される。これには、ゲル化したニトロセルロースを単独で基剤とするものとニトログリセリンをくわえたものを基剤とするものの2種類がある。後者はダブルベース火薬あるいは混合火薬とよばれる。ダブルベース火薬の代表的なものにコルダイトがある。これはニトロセルロースに30~40%のニトログリセリンと安定剤として少量の鉱油をくわえたものである。「無煙火薬」の名称は、黒色火薬とくらべると発射時の煙の発生が少ないためにあたえられたもので、かならずしも無煙ではない。
無煙火薬の燃焼速度は、火薬の粒子形状をかえることによって調整することができる。火薬粒子の燃焼は、表面から内部にむかってすすむので、粒子の形状と大きさを調整することによって、しだいにゆっくり燃焼するようにさせるか、均一の速度で燃焼させるか、しだいに急速に燃焼するようにさせるかを決めることができる。たとえば、球状の粒子は、燃焼がすすむにつれて表面積が小さくなるので、だんだん燃焼速度が小さくなる。このように燃焼速度が逓減する火薬は、ピストルのような銃身の短い火器に使用される。