フィンランド
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フィンランド
V. 経済

第2次世界大戦以降、フィンランドは高インフレ、高失業率、莫大(ばくだい)な対外債務といった経済問題をかかえていた。その後、工業部門が拡大し、1960年代後期までに工業の労働人口は農林業をうわまわり、貿易収支は改善された。公共サービスをのぞき、工業と商業では民間企業が活躍しているものの、多数の規制により政府が経済活動に大きく介入している。90年代前半には、主要貿易相手国だったソビエト連邦崩壊の影響などでマイナス成長となり財政赤字がふくらんだが、その後の緊縮財政と携帯電話などの情報産業の発展によって回復。90年代後半から2000年にかけての経済成長率はヨーロッパ諸国中トップクラスにランクされる。2005年のGDP(国内総生産)は1931億6005万米ドルで、1人当たりのGDPは3万6819.70米ドルである。

1. 農林漁業

農業は肥沃な海岸地域に限定されている。耕地は国土の7.4%(2005年推計)にすぎず、大部分の農家の所有地は20haにみたない。しかし、農家の20%以上が農業労働者を定期的にやとっている。主要な農作物はオオムギ、オートムギ、テンサイ、ジャガイモ、コムギ。家畜では家禽(かきん)、牛、豚、トナカイ、ヒツジなどが飼育されている。

森林の約60%が私有林、約25%が国有林、残りの約15%が企業か自治体が所有する森林である。2005年では年間5160万m³の材木が伐採された。漁業では、年間漁獲量は14万8700t(2004年)で、このうちの8万8883tが海からの水揚げによる。森林の伐採とバルト海沿岸地域の海水汚染によって、環境問題に対する関心が高まっている。

2. 鉱工業

鉱物資源では銅、亜鉛、銀の採掘量が多く、ほかにクロム、鉛、ニッケル、金もとれる。

製紙・パルプ業と木工はフィンランドの工業で重要な位置を占めており、新聞用紙のほか、木材や紙製品が生産される。このほか重機、金属、船舶、印刷、食品、繊維、化学製品、ガラス器、セメントなどの工業もおこなわれている。近年は、エレクトロニクス、情報関連技術の発達がめざましい。

3. 通貨と銀行

通貨単位はマルッカであったが、2002年1月からEU(ヨーロッパ連合)の単一通貨ユーロの紙幣や硬貨が流通し、マルッカは法的効力をうしなった。中央銀行は、1831年に創設されたフィンランド銀行だが、1999年1月のユーロ参加によって通貨金融政策はヨーロッパ中央銀行(ECB)の管理となり、フィンランド銀行はヨーロッパ中央銀行制度(ECBS)にくみこまれた。

4. 外国貿易

2004年の輸入総額は507億米ドル、輸出総額は609億米ドルであった。おもな輸出品は、パルプ・紙・新聞用紙・製材製品、機械・輸送機器、電子機器など。おもな輸入品は機械・輸送機器、電子機器、原油、化学製品、鉄鉱石と鉄製品など。主要な貿易相手国はドイツ、アメリカ、イギリス、スウェーデン、ロシアなどである。

フィンランドは1986年にEFTA(ヨーロッパ自由貿易連合)に、95年にはEUに加盟している。EMU(経済通貨統合)には、99年1月の発足時から参加。

5. 交通とコミュニケーション

総延長約6600kmの運河網が内陸の湖をつなぎ、さらにフィンランド湾へ通じているため、製材業はこの廉価な交通手段を活用している。鉄道は総延長5732kmで、そのほとんどは国が運営、管理にあたっている。道路は総延長7万8216kmで、このうち61%が舗装されている。

航空路では、フィン・エア(フィンランド航空)が国内線、国際線を運航しているほか、国内の主要都市をむすぶカル航空がある。

電話業務の約3分の1は国営企業がおこなっている。1000人当たりの電話回線数は404回線(2005年)。携帯電話の普及はめざましく、国民の9割以上が保有している計算になる。インターネットの使用率がもっとも高い国のひとつでもある。テレビ・ラジオは民放局もあるが、国営のフィンランド放送が中心で、フィンランド語放送とスウェーデン語放送がおこなわれている。新聞は、フィンランド語紙、スウェーデン語紙が多数あり、人口当たりの発行部数はヨーロッパでもっとも多い。

6. 労働

労働人口は266万人(2005年)である。労働組合の中央組織には、労働組合中央組織(SAK)、フィンランド技術労働組合連合(STTK)、フィンランド学術専門家労働組合連合(AKAVA)の3つがある。