| 検索ビュー | 炭化水素 | 項目ビュー |
| I. | プロローグ |
炭素と水素だけからなる有機化合物の総称。もっとも単純な組成の有機化合物であり、全有機化合物の基本物質であるとみなされる。炭化水素は便宜的におもに鎖式と環式の2種に分類される。炭素原子数2以上の鎖式化合物では炭素原子が相互に結合して開鎖を形成しており、1個以上の側鎖をもつ場合もある。環式化合物では炭素原子が1個以上の閉環を形成する。この主要な2種は化学的挙動により飽和化合物と不飽和化合物に細分される。→ 有機化学
| II. | 鎖式炭化水素 |
飽和鎖式炭化水素はパラフィン列、ないしアルカン列とよばれる同族列を形成する。パラフィンは「親和力が小さい」という意味のラテン語parum affinisに由来する。パラフィン列の化合物のそれぞれの組成は式CnH2n+2であらわすことができ、nは分子中の炭素原子の数である。パラフィン列の化合物にはメタンCH4、エタンC2H6、プロパンCH3CH2CH3、ブタンC4H10がふくまれる。パラフィン列の全化合物は非反応性であり、つまり常温で酸、アルカリ、酸化剤などの反応剤と容易に反応しない(→ 酸と塩基)。パラフィン列の炭素数1~4の化合物(低位)は常温常圧で気体であり、炭素数が中ぐらいのもの(中位)は液体であり、炭素数が多いもの(高位)は半固体または固体である。石油は多種多様の飽和炭化水素をふくんでいる。たとえばガソリン、ケロシン、重油、潤滑油、パラフィンなどの石油製品は、中位の液体化合物から高位の固体化合物におよぶひろい分子量範囲のパラフィン列炭化水素の混合物からおもに構成される。
| 1. | アルケン列 |
不飽和鎖式炭化水素はアルケンないしオレフィン列、ジエン列およびアルキン列をふくむ。アルケン列は2個の炭素原子間の二重結合を1個もつ鎖式炭化水素である。アルケン列の一般式はCnH2nであらわされ、nは炭素原子の数である。パラフィン列と同様に低位のものは気体であり、中位のものは液体、高位のものは固体である。アルケン列化合物は飽和化合物よりも化学的に活性である。ハロゲンなどの物質と容易に反応し、二重結合に原子を付加する。天然にはまったく存在せず、石炭などの複合天然物質の分解蒸留(→ 蒸留)で生成され、石油精製、とくにクラッキング法(→ クラッキング)で大量に形成される。アルケン列の最低位のものはエチレンC2H4である。ジエン列は分子内に2個の炭素原子間の二重結合を2個含む。天然ゴム中の複合炭化水素に似ており、合成ゴム(→ ゴム)やプラスチックの製造に重要である。ジエン列の主要化合物はブタジエンC4H6、イソプレンC5H8である。
| 2. | アルキン列 |
アルキン列の化合物は分子内に炭素原子間の三重結合を1つふくむ。アルキン列の一般式はCnH2n-2である。化学的に非常に活性が高い。アルキン列のもっとも重要な化合物は最低位のアセチレンC2H2である。
| III. | 環式炭化水素 |
飽和環式炭化水素、ないしシクロアルカン(→ 脂環式炭化水素)のもっとも簡単な化合物はシクロプロパンC3H6であり、3個の炭素原子にそれぞれ2個ずつ結合した水素原子から構成される。シクロプロパンは対応する鎖式アルカンであるプロパンC3H8よりも多少反応性にとむ。
一般式C10H16の不飽和炭化水素はリモネンとよばれ、レモン油、ミカン油、オレンジ油などの植物精油の中に存在し、香料として使用されている。
不飽和環式炭化水素のうちでもっとも重要なものはベンゼン環をふくむ芳香族炭化水素である。芳香族炭化水素は一般に付加反応がおこりにくく、置換反応によって各種の誘導体となる。しかし、側鎖にエチレン結合をふくむものは、水素およびハロゲンの付加反応をおこす。芳香族炭化水素にはベンゼン、トルエン、アントラセンおよびナフタレンなどがある。