| EU(ヨーロッパ連合) | 項目ビュー | ||||
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| II. | 組織 |
EUの組織は、執行機関であるヨーロッパ委員会、おもな意思決定機関であるヨーロッパ連合理事会(閣僚理事会)、諮問・共同決定機関のヨーロッパ議会、EUの最高レベルの政策方針をきめるヨーロッパ理事会(首脳会議)、ヨーロッパ裁判所、そのほかヨーロッパ中央銀行、ヨーロッパ会計監査院、および、経済社会評議会や地域委員会などの評議機関がおもなものである。
EUの法律ならびに政策一般は、EU全体の利益を代表するヨーロッパ委員会、各加盟国を代表するヨーロッパ連合理事会、EU市民を代表するヨーロッパ議会の役割分担と相互協力によってきめられる。
以下に紹介する主要組織の内容は現行のもので、リスボン条約が発効すれば、いくつかの変更がおこなわれる(リスボン条約の内容については後述)。
| 1. | ヨーロッパ委員会 |
ヨーロッパ委員会(European Commission)は、基本条約であるマーストリヒト条約、その改定条約であるアムステルダム条約、ニース条約などをまもり、それを誠実に執行する機関で、委員は出身国政府の意向に左右されないで、EUの利益のためにだけ行動することが義務づけられている。
EUにおける法案発議権をもつ唯一の機関であり、政策案を作成し、ヨーロッパ連合理事会やヨーロッパ議会へ提出する。域外国や国際機関との経済関係においてはEUを代表する。また、EU共通政策の運営をにない、予算の歳出や各種計画を管理する。委員は27名(各国1名)で、加盟国政府間の合意とヨーロッパ議会の承認をえて選任され、各自が1つ以上の政策分野を担当する。任期は5年。委員長は2004年からジョゼ・マヌエル・バローゾがつとめている。
行政スタッフは約2万人おり、おもに、EU本部のあるブリュッセルおよびルクセンブルクにおかれている政策分野別の部局に配置されている。
| 2. | ヨーロッパ連合理事会(閣僚理事会) |
ヨーロッパ連合理事会(Council of the European Union)は、加盟国の一般経済政策の調整をはかるとともに、共通政策に関して、ヨーロッパ委員会の提案を承認、拒否、要請する。議題ごとに加盟国を代表する担当閣僚が出席する。EUの主要な立法機関であるが、近年はヨーロッパ議会と共同決定する分野がふえている。
基本条約の改正、共通政策の導入、新規加盟国の承認などについては、全会一致が必要だが、その他のほとんどの場合には、各国にわりふられた持ち票にもとづく特定多数決によって表決がおこなわれる。各国がもつ票数は、ドイツ、フランス、イタリア、イギリスの29票からマルタの3票まで国ごとにことなる。全票数は345票。特定多数決の成立には、255票(73.9%)以上、加盟国の過半数(ヨーロッパ委員会の提案によらない議題については3分の2以上)の国の賛成、賛成国の人口がEU全人口の62%以上、の3条件をみたす必要がある。
連合理事会は、加盟国が半年交代の輪番制で議長国をつとめ、加盟各国が派遣している大使で構成する常駐代表委員会によって補佐される。本部はブリュッセルにおかれているが、会議はルクセンブルクでもおこなわれている。
| 3. | ヨーロッパ理事会(首脳会議) |
ヨーロッパ理事会(European Council)は、1987年の単一ヨーロッパ議定書によって制度化された加盟国首脳会議のことで、加盟各国首脳およびヨーロッパ委員会の委員長で構成される。半年交代の輪番制となっている理事会議長国(ヨーロッパ連合理事会の議長国でもある)の首脳が議長をつとめる。ヨーロッパ理事会は6月と12月の開催が定例化され、臨時首脳会議をふくめると、通常年4回開催されている。マーストリヒト条約によって、EUの主要政策の方向をきめる機関としての地位があたえられ、ヨーロッパ連合理事会やヨーロッパ委員会で解決できない重要問題や国際政治問題を協議し、EUの将来の方向性を決定する。
| 4. | ヨーロッパ議会 |
ヨーロッパ議会(European Parliament)は、EU市民を代表して、立法過程の一部をにない、かつEUの活動に民主的統制をおこなう機関である。1979年以来、そのメンバーが加盟国市民の直接選挙によって選出されている。任期は5年。各国の議席は、それぞれの人口におおむね比例してさだめられており、2007年にブルガリアおよびルーマニアが加盟したことで、議席総数はニース条約(後述)に規定された上限の732をこえて785になった。
立法手続きには、3つの方法がある。第1は、1987年の単一ヨーロッパ議定書によって導入された「協力手続き」であり、ヨーロッパ議会はヨーロッパ委員会が提案する指令や規則に対して意見をのべる。ヨーロッパ委員会はその意見を参考にして、必要ならば修正する。
第2は、同じく1987年に導入された「同意手続き」であり、ヨーロッパ委員会が交渉した国際協定、EU拡大に関する提案、選挙規則の変更などについては、ヨーロッパ議会の承認が必要である。
第3は、マーストリヒト条約によって導入された「共同決定手続き」であり、労働者の自由移動、域内市場、教育、研究、環境、ヨーロッパ横断ネットワーク、健康、文化、消費者保護などについては、ヨーロッパ連合理事会と同等な立場で立法活動にあたる。この対象分野は、アムステルダム条約やニース条約によってさらに拡大された。
また、ヨーロッパ議会はヨーロッパ連合理事会とともにEU予算を検討し、予算案を拒否することもできる。ただし、EUの農業関連支出については、その大部分がヨーロッパ議会の権限外となっている。
ヨーロッパ委員会委員長ならびに委員の就任にあたっては、ヨーロッパ議会の承認が必要である。また、議員の3分の2の賛成をえて、ヨーロッパ委員会を総辞職させることもできる。会計監査院の報告を検討することとあわせて、ヨーロッパ議会は、EUの活動に民主的な統制をおこなう。
ヨーロッパ議会はフランスのストラスブールにおかれているが、議会内の委員会の活動は、おもにブリュッセルでおこなわれ、事務局はルクセンブルクにある。
| 5. | ヨーロッパ裁判所 |
ヨーロッパ裁判所(European Court of Justice)は、EU基本条約の解釈およびEU法の効力、解釈について判決をくだす機関である。加盟各国の最高裁判所の上位に位置づけられ、EU法(ローマ条約、マーストリヒト条約)にもとづいて審判をおこなう。各加盟国から1名任命される計27名の判事によって構成され、判事は8名の法務官によって補佐される。両者とも各加盟国の合意によって任命され、任期は6年(最長15年)。
ヨーロッパ裁判所は、加盟国が基本条約にともなう義務を履行しているかいなかを判断するもので、その決定は判例として、各国のEU法解釈に基準をあたえる。1989年から、法人や個人がEUの諸機関を提訴する案件や、EU諸機関どうしの争いをあつかう第1審裁判所がもうけられている。所在地はルクセンブルク。
| 6. | ヨーロッパ会計監査院 |
ヨーロッパ会計監査院(European Court of Auditors)は、歳入、歳出、財務管理について監査し、年次報告書をヨーロッパ連合理事会とヨーロッパ議会に提出する。委員は27名、任期は3年で、再任がみとめられている。委員はヨーロッパ議会への諮問をへてヨーロッパ連合理事会の全会一致で任命され、委員長は委員の互選により選出される。所在地はルクセンブルク。
| 7. | 評議機関 |
諮問的な役割をはたす機関であり、重要なものに経済社会評議会(European Economic and Social Committee)がある。
344名の評議員は、雇用主や労働者団体、消費者などの利益集団の代表者からなり、ヨーロッパ連合理事会によって任命され、任期は4年。評議会の役割は諮問的なものにかぎられるが、雇用、ヨーロッパ社会基金、職業訓練などに関するヨーロッパ委員会の提案は、ヨーロッパ連合理事会によって採択される前に、評議会に諮問されることになっている。経済社会評議会は、ブリュッセルにおかれている。
もうひとつの重要な機関は地域委員会(Committee of the Regions)で、EUを市民の身近なものとし、各地域の声を反映するためにマーストリヒト条約によってつくられた。任期は4年。各国の人口に比例した344名の代表からなる。立法機能はないが、地域の利害が関係する経済・社会問題については、諮問をうけることになっている。地域委員会は、ブリュッセルにおかれている。
| 8. | ヨーロッパ中央銀行 |
ヨーロッパ中央銀行(ECB:European Central Bank)は、EUの基本条約であるマーストリヒト条約およびその付属議定書であるヨーロッパ中央銀行法を根拠法として、ユーロ導入(1999年1月)を前にした1998年6月に設立された。物価安定のためのマネーサプライ政策を主要な任務としている。本部はドイツのフランクフルトアムマイン。
ヨーロッパ中央銀行の最高意思決定機関はヨーロッパ中央銀行理事会で、ヨーロッパ中央銀行役員会とユーロ参加国の中央銀行総裁から構成されている。ヨーロッパ中央銀行役員会は執行機関で、総裁・副総裁および4名の理事からなり、ヨーロッパ連合理事会がヨーロッパ議会やヨーロッパ中央銀行理事会との協議のうえ推薦し、ヨーロッパ理事会の合意で任命される(任期は8年で、再任は不可)。EU諸機関や各国政府からは高い独立が保障されている。
EU加盟国でユーロ不参加の国との金融政策の協調は、ヨーロッパ中央銀行総裁・副総裁とEU加盟国の中央銀行総裁によって構成される一般理事会でおこなわれている。
なお、EUの金融機関として別にヨーロッパ投資銀行(EIB:European Investment Bank。本部ルクセンブルク)がある。EUの前身であるEEC(ヨーロッパ経済共同体)の設立をきめたローマ条約の発効(1958年1月)と同時に加盟国の共同出資で設立された。現在はEUの目的にそった投資に資金を提供しており、資金の大半を資本市場で調達している。ヨーロッパ投資銀行債券の格付けは高い。